みらい03―P.F.ドラッカー『すでに起こった未来』/205262

P.F.ドラッカー『すでに起こった未来』を読んだ。

『すでに起こった未来』とあるが、原題は"THE ECOLOGICAL VISION - Reflections on the American Condition"(社会生態学的な見通し―アメリカの条件を振り返る)
であり、社会生態学者ドラッカーの、アメリカ社会と文明に対する洞察を記した書である。

政府は人に何かを明示、服従を求める。企業は人に何かを供給し、支払を得る。しかし、非営利組織は人そのものを変える。非営利組織の成果は、服従でも支払でもない。たとえば、それは全治して退院する患者である。何かを学び取った学生である。人生が変わった信者である。
(p308)

重要なことは、「すでに起こった未来」を確認することである。すでに起こってしまい、もはやもとに戻ることのない変化、しかも重大な影響力をもつことになる変化でありながら、まだ一般には認識されていない変化を近くし、かつ分析することである。
(p313)

社会生態学は、分析することではなく、見る事に基礎をおく。知覚する事に基礎をおく。
(p322)

ドラッカーは、

  1. 観察すること
  2. 問いを立てること

によって、「既に起こった未来」を視ようとしているかに見える。
ではその観察は如何様に行い、その問いはいかにして立てるのか。
以下、ドラッカーの洞察を観察して咀嚼した。

  • 独自のものを見る。常識からの「ハズレ」を見る
    • ドラッカーのアメリカへの視線
      • 先進国のなかでなぜアメリカだけが、最も世俗的な政治とともに、最も宗教的な社会をもっているのか。
      • アメリカに特有の理念と制度は、政治の領域にある
      • 社会学者には、アメリカを特徴づけるものが競争であると信じ込ませようとする者がいる。しかし、それは間違いである。アメリカを特徴づけるものは、民間の自発的な集団を通じた競争と協力の共生である。
    • ドラッカーの、経済への視線
      • 経済活動・経済的合理性はそれ自身が目的ではない。
      • 経済的条件は単に制約条件にすぎない。 人間的目的や社会的目的の手段にすぎない。
    • ドラッカーの、企業への視線
      • 利益に関する最も基本的な事実は「そのようなものは存在しない」。存在するのは、コストだけなのである。
      • すなわち、資金コスト・不確実性に対処する保険コスト・雇用や年金のためのコストである。(例外は純粋独占による超過利益)
      • 経済活動とは、現在の資源を未来にゆだねることである。
      • 利益とは資本主義に特有のものではない。共産主義経済ではイデオロギー的理由から市場経済より遥かに高い利益率の利益を売上高税と呼んでいるだけである。
    • ドラッカーの、技術への視線
      • 人類の発展をもたらしたのは、科学の進歩ではなく、技術の概念の進歩。
      • 技術が科学の概念を変えた。 科学は自然哲学から社会機関になった。


このように、前提を疑い、常識を疑い、常識から外れた現実から本質を抽出している。特に、「利益など存在しない」と、普通の人は言えない。


  • 基礎を精神、人間、組織、社会、文明に置いている
    • 技術について
      • 技術を単なる技術上の現象でなく、人間的・社会的現象として見、社会を仕事と仕事の絆を中心に形成されるものとして見ようとする。
      • 唯一可能な説明は、(18世紀以前)科学と技術が関係あるものと思われていなかったということである。
      • 科学は最も普遍的なものを対象とし、技術は最も具体的なものを対象とした。科学と技術の両者に類似があったとしても、それはまったくの偶然だった。
      • 技術は、既存の知識を集めて体系化し、それらの知識を組織的に適用し、それを公にすることによって生まれた。
    • 情報について
      • コンピュータについて、それが技術的な能力に優れているという理由ではなく、まさに我々に情報を使う事を強いるという理由で、社会に対してきわめて大きな影響を及ぼすと考えた。
      • コミュニケーションと情報はまったく別のものである。しかし、情報が成立するためにはコミュニケーションが必要である。

このように、人間や組織、社会や文明といった視線から、これまで言われてきた事を問い直し、変化の本質を捕まえようとしているように思われる。

◆編集後記
 「社会に対するインパクト」に対する指標を産み出したい。
「会社に対するインパクト」なら、例えば株価がその指標の1になるかもしれない。その数値の振れが短期・長期かということも指標になるかもしれない。

 では、会社や組織の社会に対するインパクトはどう指標化しうるのか。どうやって「幸せになった人の数」×「その幸福の質」を追求していくのか。

 ビジネスは顧客の問題を解決する。すなわち、ビジネスは基本的には社会貢献、あるいは顧客貢献である。しかし、売上高も利益も、貢献以外のパラメーター変化によく反応する。だから、金銭で貢献度を測る事は難しい。

 そして何より、貢献のターゲットにならなかった人、今回の「社会貢献」の「社会」に含まれなかった人、貢献の宛先とされなかった人をその指標に取り込むのか。考えていきたい。

 「社会貢献」を目の前の「あなた」が幸せになる以上のスケール拡大には、そういった指標が必要不可欠であるように感じる。

レアジョブでスカイプ格安英会話!/204249

NPO法人[政策学校]一新塾にて、
スカイプで格安オンライン英会話 レアジョブの
代表取締役社長 加藤智久さんのお話を伺った。

レアジョブは、
Skypeを用い、
・フィリピン最高の大学の人材を用い、
・マンツーマンの英会話レッスンを提供する

といった、


・フィリピンで教育投資を受けたにも関わらず職が無く、収入が少ないというフィリピンの現状
・日本でこれだけ英語を学んだのにも関わらず英会話ができない人が多いという日本の現状
を、相互補完的に埋め合うというサービスだ。
例えば一ヶ月毎日25分のレッスンを受けて、5000円。
格安だが、地域の収入格差からすると、これでもフィリピンの講師には「高給」を払えるという。
#そういえばTable for twoも「地域格差」を利用したマッチングだ。

早速、レアジョブで無料体験レッスンを受けてみた。
受講時間の30分前なんていう直前だったのに、
予約もスムーズで、
あいてる人を探して「クリックして予約」するだけ。
フィリピン大学で教育を学んだというRow先生に師事することとした。

受講前に目的を明確にしておこう
・レアジョブを続けるとして、どのレベルのものを受講すれば良いか(用意されている教材を使うのか、フリーカンバセーションを行えばいいのか)を決める
・とにかく英語をアウトプットする機会とする
・後は流れで!!


・・・

・・

◆受講した。


いや、こんなにも自分の事を話せないのか、と思ってびっくりしますね(笑)
オンラインだからという恐怖感みたいなものは特に無い。
発音もいわゆる「フィリピンなまり」のようなものは感じなかった。
Row先生は始終「こちらの事を聞いてくれる」というようなスタンスで、
あちらの言う事をこちらが聞き取れていないような時や重要情報はSkypeチャットでフォロー。
聞かれて、これを伝えたくて/いいたくて、でも語彙が足りなくて、みたいなもどかしさがむしろ、英語熱に火をつけてくれそう。

それを相手が日本語が(ほとんど)できない事で、こちらに「もやもや」が残るのがまたいい。


◆そんな加藤さんのお話は:

◇想い・ビジョン
・フィリピン初・世界トップシェア企業を創る
・日本の国際競争力を高める
の二つ。

特に面白かったお話は
◇現地へ
・何のコネもツテもなく、フィリピンへ行った。
・フィリピン大学に行って、講師募集をかけた。
・そうしたら超優秀なビジネスパートナーにたまたま出会えた。
・パートナーを信頼して先にお金とか渡して、その後9ヵ月直接会えなかったが大丈夫だった。

という「最適なタイミングで、最適な人とたまたま出会った」話

そして、
・起業前、怖かった。眠れなくなった。
・だが、やりたくてしょうがなくなった。
・「左脳的」な「フィリピンと日本のマッチングだからいける」は実は後づけ。
・「右脳的」な「直観」でこれだと思った。

このあたりの話が面白かった。
よく本当に使命が「降ってくる」というような人が居ると聞くが、
加藤さんはそのタイプだったのだろうか。

◇「人が強みの会社」とは
(質問に答えて)
「人が強み」である会社は、その実
・良い人の採用の仕組み
・良い人の育成の仕組み
が上手い。

だから、
「人が引き抜かれたら終わり」というわけではない。
人は引き抜けても、一朝一夕に採用の仕組み・育成の仕組みは
真似できない。

なるほど、と思いました。
採用と、育成は言うなれば社の文化でありえましょう。
とすると、文化の模倣コストを考えると、確かに一朝一夕にマネできるものではない。


◇今後は
実は、フィリピン大学の学費が4倍に上がった。
レアジョブでは、レアジョブで働いてくれる優秀な人に奨学金を出そうと考えている。


■そして、何より
『自分の人生を生きる』ということ。

僕は、僕の人生を既に歩み始めているんだ。
自分の人生を歩み始めると、たいがいのことが、重要じゃなくなる。

・どれだけお金持ちか、とか
・面白い人と会ったか、とか
・自分が人よりもどれくらい優れているか、とか
・自分が人からどう思われているか、とか
・自分がどれくらい異性にモテるか、とか

そうだ、僕は自分の人生を生きよう。
誰か他人になりたがる事をやめよう。
ジョブズも、オプラも言っていた、たったひとつの単純なこと。
「自分になる」ということ。



■そして、あなたも
皆さんもレアジョばれてはいかがでしょうか!?
http://www.rarejob.com/
まだ一回目ですが、継続が力になるとすれば、
継続できそうな時間設定と、予約システムと、料金設定であるように感じました。

大山さん、海津さんの対談・質疑応答

お二人の対談です。

海津さん「総括できずに、私は突っ走ってきたが、大山会長の話の中にかぶっている部分があった。受け入れられる事、役に立つこと、ほめられること。そういうキーワードがでてきていたので、間違っていなかったのかな、と思って、とてもうれしく思っています。
大山さんの彼らに合わせる、というのは、私の単純化・パターン化・細分化に似ている。」

大山さん「私自身も本当に共通しているなと、ここにいらっしゃるような大企業の人がやってくれれば、もっと日本の障害者雇用は発展するんじゃないかなと」

海津さん「障害者と協働したことがあります、という健常者は、うちではウチのスピード感について来れなくて、役に立たない。普通の人の『障害者との協働』は時間つぶしの相手。」

大山さん「僕は大胆に直球を投げられないので、先ほどのキーワードにあった「逞しく優しく」というのはどのようにされているのか、お聞きしたい」

海津さん「独りでやっていけないと、人間はダメだ。人を使ってできる逞しいというなかで、結局かれらは「質問がうまく」なってきたりする。兎に角考えさせる。自発的な意思決定力を引き出す。自分で選ぶ考える決める。うちでは、社長も健常者も障害者も入り乱れていて、誰が障害者で健常者で、という分け隔てをしている暇が無い。そうすると障害者が「詰まって」しまう。そこがチャンス!手を差し伸べるのではなく「どうするんだよ」と時間を置く。そうするとネゴシエーションが始まる。障害者が障害者に「お前聞いてこい」とかね(笑)でも、そこまで行っちゃったら、こいつはもう一人で生きていけるな、と」

大山さん「うちでは、ネゴシエーションでの逞しい、という大物は居ないですね〜」

海津さん「障害者って、結構『勉強になる』―こういった言葉を使う時点で見下していることになると思って嫌なんですけれども、朝から箱を260個作るぞとブンブンに回っているのを見て、学ばされる。」

大山さん「海津さんのところでは3つ
定時に出勤・笑顔で挨拶・人の悪口を言わない
という方を採用されていますね。

うちでは4つ
自分の事は自分でできる
簡単なことでもいいからやる
一生懸命できる
周りに迷惑をかけない

この約束を取り付けています。
特に周りへの迷惑はその場で家に帰します。

あまり酷いとやめて貰います。
でも、一度やったから、二度目やったから、というのではなく、
しかし、一週間に1回迷惑をかけるのが、二週間に1回になったら、
彼は成長していると考えよう。

相当な回数返されている子が居ます。20年間相当な回数問題を起こしました。
でも、今では全く問題も起こさず、むしろ新しい子に親切にしてくれる子です。
家に居てもいいのに、うちに来るという事は、
働くことで、やはり、みんなといっしょにという想いができるのかな、と。

『企業と言うのは、リハビリをする場所でもあるんですよ。
「家に帰された、でもまた会社に行きたい」
ということで、我慢をする事を覚えたり、する。
働く幸せを覚えたから、周りに迷惑をかけずやっていこうと感じる。』
こういうことを」

海津さん「豊かさとは、選択できる自由だと私は思っています。障害者はその選択肢が無い。働いてお金を手に入れると自由が生まれ、そうして責任も生じる。

うちに来た精神病の患者さんが前の職場でこういう事をいわれた
『うちの会社、みんなやさしいからね、わかっているからね、
つらい時いつでも休んでいいからね』
こういう事を言われると、休もうかな、と思う。
うちでは
『お前が休むと、穴が開くんだぜ』と言う。
お母さんが、「スワンさんに行くときは、薬飲んででも、
必死になって、迷惑かけちゃいけないと言って、仕事にでる」

在宅で働いてくれた人がいる。
パソコン使えて、時間があって、頭が動く。
その3つが揃っていて、もう一つ大切なのは
『この人生、なんとかせなあかんな、と思っている人かどうか』

「あなたは健康です、ただ、首から下が動かないだけです」
と医者から言われた人が居る。
何の巡り合わせか私の話を以前聞いていた人だった。
「仕事によって、私は生きる担保を得ました。仕事をすることによって、明日起きるんだ、そして仕事をするんだ。」

Diversityなんてのはできていないから出てくる言葉だ
仕事は自己実現だ。障害者にもそれがある、というのが知られていたか。
僕はここまですれば、障害者でも休まなくなるし、
むしろ障害者に引っ張られて我々が動いているのだ。

僕はむしろ、健常者の方が色んな意味で危ういな、と思う。」


大山さん「人間にとって働くっていうのは本当に、禅のお坊さんの言った
究極の幸せが働くってことじゃないか。
特に日本人は勤労を尊ぶ国民と言われるが、
最近聞いたのは、働くの労働の動は中国大陸から来たのではなくて、日本人が作ったんでは無いか。
人のために、動く。それが人間の意味なんですよ。
そうやって、日本人っていうのは、働くってことが、幸せなのではないか。

キリスト教では労働というのは苦役のようですが、
日本では人のために動くが働くといって、代々伝えてきたというのは、
みんながそれをかみしめる必要があるのかなと。
「働く」はそういう国字だってことを、みんな知って貰いたい。

中学生に、働くってどういうことか知っている?と聞くと、
『会社に行ってお金がもらえる』と言う。
でもそれは違う。人のために何かをやるから、お金が結果として貰えるのだ。
働くっていう字、知ってるでしょう?
人のために、動く。それが働くという事。だから、お給料が出るのだよ。」




質疑応答

■障害者に限らず、人の能力を引き出すには(遼遠質問)
特効秘策はない。類例的にパターン化することもあるが、ひとりひとり全員違う。
要諦があるからこう、ではないと思う。

ただ、ひとつ格好いい事を言えば、「愛」では無いか。
お前の事を大事に思っているよ、という信頼じゃないか。

会社に対しての信頼や、小倉に信頼を置いているというようなもの。
そこには愛が無いとだめなんじゃないか。
ひざ詰め、ということ。

それで、もし、テクニックとして人心を掌握しようとしている人がいたら
絶対に機能しないと思っています


大山さん「海津さんの愛情ということが一番大事だと思う。
私は愛情に加え、
個性っとかなんとかってのはひとそれぞれあるけれど、それより僕は
比較的誰にでもできる方法で、その人の理解力を合わせて、仕事をどうしてあげること。
そうすると結果において自分の負担の少ないかたちでできる
すると、集中してできる
結果として、能率も上がる
だから、ほめられる
そして君がいるからできた、と役に立つことができる。

結局究極の幸せにたどりつく
その人の何ができて何ができないとかはあるけれど、
その人の理解力にあわせてむしろ、ふる仕事が彼の理解力でできるか
工夫をしてあげる事が大事

そういえば、ある時に、たまたま僕はですね
JapanTimesが理化学の取材に来て、その時教えられたのですが、
理解力にあわせて理化学はやっているといったら
「そうやって手取り足取りやるのは、職人文化の日本だからじゃないか」と言われた。

ハンガリー人の記者さんでしたが、
「ハンガリーはマニュアル文化だ。
だから、字が読めなきゃそもそも入っていけない。
日本は職人文化の国だから手取り足取り、その人のレベルに合わせてできる。

そう言われてハンガリーの人に日本の文化を教えられた
そういうような日本人の文化があるのだから、
日本での障害者の雇用というのは、日本の社会が、国が、
企業にもっと期待しながらやると
より多くの人が生きられると思いますよ。

だから、そういう意味で国がもってお
日本の憲法にも
全ての国民に幸福追求の権利を与えているでしょう。
また、勤労の権利。そして、最低限文化的な生活の権利。
そういうことで言ったら、
本当に憲法を国に代わって、そう言う事をやっているのは企業じゃないか
だから、国がやるべきことを企業がやっているんだから、
もっと国が企業を大時にすると、
働く幸せみたいなものがより生まれるはずだ。


■ニート・引きこもり・売春する女子高生といった「働く」から外れている人たちをどう思うか

大山さん
「小さい頃の教育がしっかりできていればね、と思うんですよ。
小さな時の子育てを僕はまず考える必要があるなと思います。


こんな話を聞いたことがあります。
「3歳までの五感を刺激する養育をすると、先々人間の知性が伸び、その上に花が咲く」

感じる力を育てるのは3歳まで。
美しいとか、嬉しいとか。目覚めさせる。
その後は我が目覚めてくる。
三つ子の魂百までというのは、そういう事かなと思ったりですね、
その点が一つですね。

もう一つは、今そうなっているのがどうか、という事で
僕は実はカンブリア宮殿に出ましてね、
法政大学の先生の記事を見た若い青年から手紙がきました。
『僕は3年前まで不良でした。でも、そういう社会の役に立っている知的障害者の型をみて、僕もこれから社会のために頑張ります』
一ヶ月後にまた手紙が来て
『社長さん、報告します。5人の仲間が、「これからはおれも、社会の為に生きます」と言ってくれた』
大きくなっても今の物足りなさから、そういう物足りるものを求めているのかなと。
そういう事が必要なのかな、と思っています。」



海津さん「僕は福祉の専門家・学者になるとバイアスがかかってしまうので
あまり勉強しないようにしているんですが、
一般にニートだとか言われている人について思う事は
人は人を介してでしか幸せになれないんじゃないか、と思っています。
たまには打ちひしがれる事もあるんだけれど
人間は関係の中で自分があるんだと思っている
愛情だとか人間関係がまったくない状態で育ってきた人は、
愛したり、人に目をかけたりといったことを経験していないんじゃないか。
経験する事ができれば、変わっていくんじゃないか。
そうは言いながら寂しさを抱えながらニートをやっているんだけれど、

僕はヤマトで労務管理をしていましたが、あばずれを纏めるのが得意で
あんたには力を貸すぞみたいな感じで寄ってきてくれて
分け隔てしないですし、愛情みたいなのがキーになってくると確信をしていますね。」




■人に一番最初に相対した時に、常に思っていること、視点を、教えて頂きたい。
例えば、名刺交換をした時に、どういう事を考えながら人として向き合っているのか教えて頂きたい。

海津さん「深遠な事は言えないが、一期一会なんですよね。それだけです。
僕は人間脳味噌が二つあったらこんな強い事はない。
4倍の力があったらオリンピックでれますよね
相手がいるだけで、全く違った発想で世界が見えるじゃないですか。
相手がいることが凄く僕にとっては力なんですよね。
こう思うけどどう思うかな、というのが財産なんですよね。
N=3でいいから、外に行って聞けと私は言っています
思い込みだけだとはなくそみたいな商品が出てくるんですよ
自分の興味がないものが世の中には腐るほどいて、
それだけ違うものの見方をする人がそんなにいるってことじゃないですか。
違う方と巡り合えたのは全部財産で、障害者だって全部そうです。
それだけは僕ははっきり言えます。」


大山さん「76歳になって、こういう問いにやっと答えられるのですけれども、
僕は、禅の坊さんの話を聞いてからこういうスタートをしているんですけれども
人の為に一生懸命働くという事で
自分がすごくラッキーな人生を歩ませて頂いたなと
人の為に一生懸命働く事が、自分にも幸せな人生を生きることになる

役に立つほめられる必要とされるというのは、
結果において愛される事ですよね。

周りの人に、相当な応援を頂いています。
企業の力じゃなくて、周りの力で理化学は成り立っています
川崎の方に早稲田の方と繋がれて発展したり。
人の為に生きると、周りが助けてくれます。
人の為に、というのは偽善的に聞こえるかもしれないけれど、
それは間違いない、ということを、76歳の僕はお伝えしたいです。」



■今後の事業の事、今後のご自身のことについて、教えて下さい

海津さん「4/1に新しい会社を吸収合併した。
農協のシステムは崩壊していて、我々ヤマト運輸というインフラを持っていますので
障害者にいいものを提供して、それを売って貰うという会社なんですけれども、
まず、農家の方に悪い人じゃないよって事を伝えて(笑)
畑行きましょうからはじまって、たくあんが出てきて、一緒にむしって。

自分たちの強みを生かして
小倉さんと言う方は、非常な教えを会社において言ってくれていて
「会社の経営は黒字にすること」
「黒字とは経費より収入が上回ること」
かくっとくるような当たり前のシンプルな事を残していってくれて、
そうして考えたのは、
社会起業としてふさわしいものを売って、
世のため人のためという信念を持続していく事が大切で、
そのためには正しい倫理感といったことが大切だと思っています。

基軸力と良く言っているんですが、ぶれずに一歩一歩行っていこうと思います。

我々13年前にスワンを始めたんですが、
13年も経って、まだスワンが新しい、と言われるということは、
まだまだ日本が変わっていないんだなあ、と思います。
みなさんこんなハゲでもできる(笑)んだから、パクってもらって
どんどん新しいことやっていってほしいですね」


大山さん「働くということが究極の幸せですよね。
恵比寿様も実は足が悪い、足の出ない神様だと神話辞典には書いてあります。
知的障害者の方々のお陰で、私の今の人生があります。
新聞では、知的障害者だから事件を起こすなんていう論調もありますが、
私としては逆です。
工場で知的障害者が働いてくれて、逆だという事を教えてくれました。
障害がどうこうではなくて、まともに生きられるような環境を、大人は作っているでしょうか。
まずは障害者が事件を起こすとしたら、周りの大人のせいです。

もう一つ、
三歳までの教育にともすれば
保育園にあずけたりするのは
女の人には申し訳ないけれど、大事にされている
やさしい、きれい、そういう感性をお母さんに育ててもらえれば。
そういう理念で、きっとぱすができたんですよ。

外の風景を見ながら、小鳥が鳴いている、というのを
その子たちなりの理解力で描いてもらいたい
それを恵比寿様が与えてくれたのかな

それを家の中で、窓ガラスで好きな事をさせながら、ほめながら
会話しながら、親子のきずなを3歳までにしっかりつくる。
そういう子育てに、キットパスを役立てようと思っています。」

海津 歩 スワン 株式会社スワン代表取締役社長

「愛と正義と勇気の話」
知的障害者然としていない「スワンベーカリー」のお話です。これも非常に面白かった。

◆サッカー型組織!
僕はサッカーの審判。
お客さんがお金を払ってくれた時が得点。

スワンは障害者のための会社ではなく、お客様のための会社
厳しいが、厳しいからこそ、彼らも達成感を。

スワンでは健常者も障害者も権利と義務は同じだと思っている。
障害者も健常者も戦力として僕は見ている。
スワンはできる人だけ雇っているわけではない。
4か月かけてブラッシュアップし、賃金分の仕事をしてもらう。

とまあ、私の話を聞くより、赤坂店の12時〜13時を見てくれ!!

今日も怒涛のような雄たけびのように
「足齧っちゃった!!」
なんて事件が。

毎日事件が起きていて「うまくいってる!」わけではないが、
事件があればチャンス!貯金貯金と考えている。
普通の「障害者障害者した会社」ではないのだよ!!

◆設立経緯
故小倉氏(ヤマト運輸宅急便創業者)
「障害者の社会参加と自律の支援を目的に
全私財を投じ、ヤマト福祉財団を設立

阪神淡路大震災がスワン設立のきっかけだった。
そこで、障害者は10万円も給料を貰えていない。
そこで「かわいそう」ではなく「何やってるの!?店は何売ってるの!?」
という問題意識を持ったことが発端!

フリーマーケットに出されるものの、できそこないのようなものを
障害者に作らせて売っていた。それでは、儲かるはずがない。障害者に給料を払えるはずがない。

そのころ、高木ベーカリーの高木さんと会った。
「じゃ、うちの生地使ったらー?」

しかしそれに小倉さんは飛びつくではなく、
小倉さん「え、何でパンなの!?」
・毎日食べるもの
・お客さんの前でできる綺麗なもの
という理由で、「パン」に決断した。

現在26店舗。
70%が知的障害者。みなさん経済的に自立しています。



小倉イズム
勧善懲悪 尊徳より善悪 正義はかつ
顧客第一 需要は経営者が作る

世のため人のため 必要な事業は 絶対に持続的繁栄する
できないのは社長のせい
経営は黒字にすること
系絵日より多くの収入を生み出すのが社長
初めから最低賃金払え
行動あるのみ 走りながら考えよ
そもそも起業はトレードオフを両立させる組織
やらなければ、分かっている事は一つ、できないということだ




・障害者のよさ
ノンストップで260個箱を組み立てられますか?
彼が休んで健常者に任せたら3つ作ればタバコ吸いに行っている

健常者こそ、手抜きを編み出したり、不作為を行ったりする。
障害者はできるまで時間がかかったり、苦手なことが目立つ、
だけど、面従腹背がない。自分の事しか考えていないやつとは口を利かない。
ストレートに帰ってくるから、やりやすい。




・民間は経常利益でけりがつく 数字が全て
差別もいじめも非効率
パン屋の朝は時間とも闘いあ
究極のOJTで感じる2つの弊害
 1.親の支配的愛の弊害
 2.養護学校の優等生

戦力として障害者をみている。
そのために、
・初めに褒める 大切な自己肯定「今の自分でいいんだ」
・指示を控える 大切な自発的意思決定力

我々の
使命は、民間は親御さんや行政でできぬことをやる氏名がある
Education:能力を引き出すという語源




・障害者の能力開発 仕事はできると楽しい
Point1 仕事の与え方
単純化、パターン化、細分化
小さな成功体験、 いかに早く多く
そのための小さな目標設定
権限委譲で完結(ダブルチェックしない)「大和は我なり」
 障害者が障害者を教えている。
  健常者も障害者も、自分たちの仕事に不安を持っていた。

Point2 職域の開発
パン製造→接客応接
ネット通販→情報処理作業
きっかけは聾唖者のブラインドタッチ

・人は必要とされ伸びる
 被害者意識→当事者意識
   俺がやらなかったら、誰がやるんだ
 義務感→使命感




・企業のCSRとは夢中にさせること

モチベーションは最大の経営資源
やる気のないs能力は無用
もちべー0所んなき効率追求・政調戦略はありえない

社員の自己実現
仕事が喜び
成果主義で改ざんするもの
賃金テーブルで金しか動かない人間に
代わりはいくらでもいる会社にだれが居たいか




・たくましい・優しい というキーワード
一人でいきていくために
 まず一人でできる
 できなければ人を使ってしてもらう「たくましい」
 そして人から愛される心の「優しい」

障害者も健常者も人を介して業績を上げる事にかわりない
適材適所は管理者にとっても障害者にとっても健常者にとっても同じ

得意不得意は誰にでもある
 今の自分でいいんだ、という所からスタート
適材適所は無意識にしている
 してきたし、やってきたはず
障害者は不得意が顕在化しているだけ
健常者は不得意を隠す事ができるだけ

スワンの経営は
長所を活かして短所は仲間が助ける全員経営
複数名いればできる、長所の連鎖!!
  6人くらい居ればできるよ!!



ノーマライゼーション
人間ひとりひとりちがうから個性⇔特別視しない
日本には善意の差別がある。
 健常者は支える人 →助けてあげなきゃ支えてあげなきゃ
 障害者は支えてもらう人 →なんだか助けてもらえるんじゃないかな、と甘える

隔離教育の弊害




・障害者に望むこと
定時に出勤
笑顔で挨拶
人の悪口を言わない
これだけ。

 権利と義務はみな同じ
働いている以上、社長も障害者も健常者も同じ権利と義務
給料をもらう権利と対価分働く義務
 社員のパフォーマンスを上げるのがこっちの責任
 壁破ろうがなんだろうがOK!!

 大切な人の輪の和
長所の連鎖
組織で機能してこそ強み
一人の力は所詮一人




・障害者の能力を青天井で見る
きっかけは聾唖者のブラインドタッチ
健常者の時給の逆転現象 彼女はバリスタ
24時間オーブン稼働 夜勤の仕事で深夜手当

 できると思う事からさせてみる 能力を決めつけない

我々の照準は、最低賃金ではなく、最低賃金から能力給

「できるでしょうか??」「見てください」「やってます」
百聞は一見にしかず



・障害者主体のお店→野球型→サッカー型 →お客様主体のお店
 障害者の職場を作るのは簡単 ただ雇えばいい
 職場を作るのが目的ではない。 はお度ではなくソフト 魂が入っているか
 必要な売り上 画期ある職場で障害者の活力ある活躍が目的
健常者10人に障害者1人いれて
健常者9人にすれば生産性は落ちない



・障害者のしごとぶり
ラテアート(東京大会で銀賞(2位)だった)
チョークアート(パネルPOP)
環境への地域ボランティア(表に障害者が出ていく事が大事)

・親会社との連携事業
販路開発 企業様のロゴマークをプリント
低アレルギーケーキ(障害者はパッケージング・発送作業などを)
 「障害者が心を込めて作ったので買ってください!!!」というのが僕は大嫌い!
 Win-Winの取引が大事でしょ!!


大学とのインターンシップ
 学生の受け入れ・出張販売
 明治学院大学の学生さんがこれまで障害者を見た事が無かった!!
 明日の福祉を考える人たちが見た事が無かったので
  →ボランティアじゃやらないよ。カネ儲けなんだよ。
 ということで一日パンを売ったら16万円ちゃりんちゃりん

養護学校の先生の研修
 3日間で何がわかんの?→3か月きてもらったり。


・スワン10年目の挑戦
(健常者よりも時間給が高い障害者もいる)
在宅就労もやってる。
 ヤマトの伝票を作る作業→スワンの物流部に投げる
 TVチャンピオン準優勝「新幹線部門」なんていう

「健常者の仕事を障害者に分け与える」なんて有り得ない!!(生産性がおかしくなるでしょ)
障害者やめません、24時間パン焼いています、生産性落ちません。
そうすると仕事無くなりますね。
新しく仕事を作ります。作った仕事に障害者に入って貰う、という形でやってます。



・障害者ドラマへの制作協力
だいすき ゆずの子育て
のだめカンタービレ
読者が選ぶベスト10カフェ
  ←「障害者の店」扱いの紹介ではない!!!
  ウィンウィンの取引をこちとらやってんだ!

社会起業化 小倉昌男
ソーシャルベンチャーとして創業した宅急便と障害者雇用の融合


・社会にとって「あったらいいな」「してほしいこと」はできる人から

愛と勇気と正義
・愛は強制するアイ
・正義は勧善懲悪の理念
・勇気は諦めず実践していく勇気

私は必至で走り続けているんですよ4年間
俺はもっとできるぜ!っていう若い人たちがもっとでてきて
パクってもらって、実践して頂きたい!!!!!

マクドナルド社長「高齢化社会になって、人生一度は障害者やってから死ぬ社会になってきたんだよ」
障害者の問題は、蚊帳の外ではないんだよ。
人間の畸形率は2%
身近な問題なんだよ、ということを分かって頂ければ

障害者の会社経営は
人々の元気に直結する厳しいけれど暖かい活動であり、
絶対にあきらめず凛として人生に立ち向かう勇気を伝えていきます

ご清聴ありがとうございました!

ISL社会イノベーターフォーラム/201512

ISL主催の、社会イノベーターフォーラムに参加しました。
社会包摂(Social Inclusion)::平たく言えば、disables and not disablesの共生がテーマでした。
非常に濃い3時間を過ごせました。

以下は、ほぼリアルタイムでとった、お二人の講演内容です。
(お二人の言われた内容を完璧にとったものではありません。)

東京大学を卒業しました。/184460

2009年3月24日、東京大学工学部システム創成学科知能設計コースを無事、卒業する事ができました。

卒業論文が認められ、本年度より精密工学科として独立する2コースの首席ということで、教授陣に推薦を賜り、卒業式にて、(社)日本設計工学会 武藤栄次賞 優秀学生賞を頂きました。


ひとえに、
お話を聞かせて下さった大人の方、
温かくご指導下さった先生方、
安価で惜しげもなく知識を共有して下さる本の著者の方々、
そして、ほんとうの意味で切磋琢磨しあえる、レベルの高い友人のみんな、

そういったものに恵まれてめぐまれて、ここまで来れたと思っています。
ありがとうございました。

これからも、楽しくやっていきたいと思います。
楽しむ事が、何よりも学ぶ事に繋がる。


全てが教師になる。ただ人は、学ぼうとしさえすれば良いのだ。

そろそろ自分を読もうじゃないか〜『教材設計マニュアル』を肴に〜/181964

はじまりは、1通のメールからだった。

このメールは、

・分厚い書籍がずっと手つかずになっている方
・読書量よりも積読量のほうが多くなっている方
・1日に1冊の本を読んでいきたいと思っている方
・amazonから届いた本が箱のまま放置されている方
・書籍に読まれるのではなく、自分を読むことに関心がある方
・1時間で「ビジョナリカンパニー」「イノベーションの解」「影響力の武器」などを読めるようになりたい方

にお送りしています。

もし1つも当てはまるものがなかった場合は、
このメールをゴミ箱にいれてしまってください。

1つでも当てはまった方は、以下をお読みください!

▼第1回「読自祭 - 本を読んだら、今度は「自分」を読め -」▼

開祭日時:3月7日(土)8:30〜10:30

祭場 (現地集合):

費用(ドリンク放題,会議室代金):
1000-1500円(参加人数により変動します)

―持ち物―

・好奇心
・書籍(1時間では無理だろって本を持ってくると楽しい)
・ノートパソコン(ホワイトボードでもプレゼン可能)


▼開祭内容 ▼

ミッション:60分間で書評せよ!

・チャート1枚にまとめよ 60分間
・プレゼン&ディスカッション 10分間/人

以上、シンプルな構成になっております。

プレゼン資料は、
テキスト,マトリクス,フローチャート,マンガ etc

何でも構いません!

大事なのは、書籍内容を網羅的にまとめるのではなく、
書籍からインスパイアされたこと、
あなたが思考してしまったことを表現することです。

つまり、

書籍を踏み台にしてあなたの思考を共有することがミッションになります。

これまでに読自祭は、数度の実験をおこなってきました。

実験に参加した方から聞いた参加メリットは、

・積本を読破することでストレスが解消され、達成感が得られること
・朝一番にアウトプットを行うことで、幸先のよい一日が送られること
・他人のアウトプット(フレームワーク)を共有できること

の3点です。

現在私は1日1冊書評する事を習慣にしています。
もちろん1日中書籍を読んでいるわけではなく、長くても2時間です。

読書が習慣になっていない方は「1日1冊読むこと」に驚きをもたれますが、
読書が習慣になっている方は「1冊ごとにチャート化すること」に驚かれます。

具体的には、450Pの書籍を1時間図解することに関心をもつようです。

私は、フォトリーディングや速読教室や眼球トレーニングなどは行っておらず、
いたってフツウの読書をしています。

色々な方から質問をうけるので、思索をしてみた結果。

たった1つだけ違いを発見することが出来ました。

それは、私が「読自論」を習慣として獲得していることでした。



▼開祭背景 - なぜ読自が必要なのか? -▼


現在日本では毎日200冊の出版物が刊行されています。
つまり、年間7万冊超の出版物が刊行されていることになります。

この刊行スペースでは、
いくら熱心な読書家 でも新刊の1%も読むことはできません。

読書に関する本も比例的に売れています。

「本を読む本」 という真っ当な読書論や、本田直之さんの「レバレッジ・リーディング」 、
成毛眞さんの「本は10冊同時に読め」 などの用書論が筆頭にあげられるでしょう。

上記のような読書論,用書論はあらゆるメディアで語られています。

私はその状況を楽しむと同時に、半ば憂いております。

なぜなら、読書の根本である「読自」についてほとんど語られていないからです。

「読自」とは何か?

それは文字どうり、自分を読むということです。
自己分析と違う点は、(読書を通じて)自分を読むということでしょう。

この考えを言語化するきっかけを与えてくれたのが、
「読んでいない本について堂々と語る本」 です。


この本を3行でまとめると、

・われわれはたいていの場合、「読んでいる」と「読んでいない」の中間領域にいる。


・ある本について的確に語ろうとするなら、ときによっては、それを全部は読んでいないほうがいい。

・本を読まないことも、厖大な書物の海に呑み込まれないように自己を律するための立派な活動なのだ。

つまり、われわれは常に未読状態であり、
未読状態においては「堂々と語る」ことが非常に大切である。
そして「堂々と語る」ためには「読自論」が必要なのです。

ということです。(6行になってしまいましたね。笑)

上記を読んで、

・未読状態とは何か?

・堂々と語ることがなぜ大事なのか?

・読自論とは何か?

という問いが浮かんだ方もいると思います。
この3つの問いは非常に難しいですが、簡単に答えたいと思います。

まず認識してほしいのが、

われわれは、常に「5つの未読状態」にあり、
読書に対して「3つの強迫観念」をもっているということです。
そして、その強迫観念への対処法(4つのコメント法)が習慣となっていないことです。

では、3つの強迫観念とはなんでしょうか?


それは、

・本を読まねばならない読書義務
・読むなら全部読まねばならない通読義務
・語るためには読んでいなければいけないという規範

です。

そして5つの未読状態とは、


・ぜんぜん読んだことがない本
・ざっと読んだことがある本
・人から聞いたことがある本
・読んだことはあるが忘れてしまった本
・読んだことすら忘れてしまった本

を指します。

対処法としての4つの未読本コメントとは


・気後れしない
・自分の考えを押しつける
・本をでっち上げる
・自分自身について語る

となります。

これらの詳細に関しては長くなりますので、
参加者だけにお伝えしたいと思います!


ということを、前回の
読書祭(an anまとめ)を踏み台として、

自分を読む――「読自祭」をやってきました!



僕が持っていったのは
「教材設計マニュアル〜独学を支援するために〜」という本。

独学を支援できるような教材(釣りが上手くなる方法マニュアルとか)を
うまく作る方法をインストラクショナル・デザイン(ID)理論に基づいて解説している本です。

これを10分×6セットの中で、読み、発表資料を作り、「自分」の思考、「自分」のインスパイアをまとめます。

まとめた資料はこちら:
http://mod.mods.jp/selfreading1_090307.pdf

この本に対して立てた問いは:
この本は教材を設計する側(教える/学ばせる側)の為に書かれた本だが、
私が学び手として、「世界」からよりよく学ぶには:

すなわち
『世界を「わたし」の独学教材にする方法は?』
という問いを立てて考えてみた。

・世界→教材という翻訳
・世界=教材 ⇔ わたし というインタラクション
の二つがある事がわかる。

しかし、世界が教材だと言ったところで、実際には世界は人にとって、単なる刺激でしかない。
刺激に意味づけを行う主体こそがわれわれ人であって、
そのためには、後者の「インタラクション」が重要なのではないか?

世界と「インタラクション:交流」があるからこそ、人は学べるのではないか?
そういった所まで考えたところで、書籍にヒントを探す。あった。

IDには「ガニェの9教授事象」というのがある。

  • 1 学習者の注意を獲得する
  • 2 授業の目標を知らせる
  • 3 前提条件を思い出させる
  • 4 新しい事項を提示する
  • 5 学習の指針を与える
  • 6 練習の機会をつくる
  • 7 フィードバックを与える
  • 8 学習の成果を評価する
  • 9 保持と転移を高める

この、教える側の9つの言葉から、
学び手としての言葉へ翻訳すると

注意喚起/目標認知/問題想起
新事項認識/指針導出/練習を積む
フィードバックを得る/自分で評価する/保持と転移を高める
のようになる。

最初の3つとその次の3つがそれぞれ
自分を知る:注意喚起/目標認知/問題想起
世界とインタラクションする:新事項認識/指針導出/練習を積む

に関係がありそうだ。


ここで2軸で整理。



自分を知らず、世界も無視するのを「死没者」
自分を知るが、世界を無視するのを自己に没頭する「没自者」
自分を知らず、世界とはかかわる「傍観者」

そして、自分を知り、世界とも関わる「読自者」たることが、
『世界を「わたし」の教材とする手法だ―』

というような「自己主張」をしてきた。
読自祭というタイトルから、「読自者を目指せ」という、
いささか予定調和的に収束したが、

「絶対に時間内に読み切れない本」
「10分ごとのタイムプレッシャー」
「知識の習得でなく、自分の思考」
「他人の思考を共有して貰える」
「自分の60分の思考にFBが貰える」

と、中々濃い2時間を過ごせたように思う。