- 明後日試験の英語の教科書をレビューしてみる。/80408

The Expanding Universe of English〈2〉
説明 2000
東京大学出版会
東京大学教養学部英語部会

The Expanding 教養 の 墓場。
東大生の英語力を破壊すると悪名高い英語部会最大の兵器。
その大失敗の教科書は今年でその命の灯火を消す。

何が問題だったのか?以下はその問題に対する分析であるが、この教科書自体のみならず、それを取り巻く東京大学教養学部英語部会と東大の教養課程の英語試験など、取り巻く環境を含めて論じていくことにする。

1.自習ができない。
 構文の解説も、和訳もついていない。にも関わらず、授業でやることといえば文章読んできて理解度チェック(僕は毎回答え聞いてから丸つけして満点にしていました)やら、関連した映像教材を用いておべんきょーだー!とか。バカか。
 少なくとも、その教材を用いれば英語の勉強をしたい人が英語の勉強をきちんとできる、そういう構成になっていないのが惜しい。特に、文章の内容は和訳を読む限り、幅広い知見に基づくものや、知っていそうで知らないトピックに触れられていて、よい内容であるだけに一層惜しい。7年前にイスラムに注目するなんて流石。

2.そのくせ、試験がテキストを暗記してこなければ解けない。
 語彙レベルの高さと、出題の意地の悪さから、譬え英語圏からの帰国子女であっても、教科書を読んでこなければリスニング以外、そう簡単に点がとれないような試験になっている。
 さらに、分量も多いため、「ほかの英語教材を用いて勉強するくらいなら、うにばーすやらなきゃ」となるわけだが、ウニバースは分量も多いし、自学自習できる教材でもなく、授業に出ても得られるものは非常に少ないため、結局、一部の非常に意識の高い学生を除き、英語を勉強しないようになる。

3.和訳やスクリプト制作といった、学生の自助努力を認めない。
 それでも意識の高い学生はいるもので、このあたりは「さすが、東大」とでもいうべきであろうか。この分厚い教科書の和訳(誤訳も少々あるが)を作り、スクリプトを作り、少しでもこの欠陥のある教科書を自習できる教材に改善しようとしてくれた有志がいたのである。
 誰もが、喜んだ。そう、喜んだはずであった。しかし英語部会は何を言うか。「教育的効果を損なう」「著作権違反である」完全に頭がパーである。パープリンである。そのパーさはこの教科書の1巻の前文に集約されている。彼らは本気で「日本の英語教育を転換させた」と思っているのである。

 重ね重ねいうが、一つ一つの文章は深みがあり、よい文章を(まとまりや体系が無いとはいえ)集めているのは事実である。それだけに、使われ方が、構成が、惜しい。

 しかし、現実にはこのようにしか使われなかった。

 ーかくして、東大生の英語力というものは、教養学部の1、2年を通じて完膚なきまでに破壊され、東大生の心に暗澹とした陰を残すのである。