お母さんは勉強を教えないで//178795

見尾 美保子著
お母さんは勉強を教えないで
http://www.amazon.co.jp/dp/4101370311/ryouen-22/

を読んだ。

事例ベースの教育論だが、そうそう、そういうこと!
と首肯できる内容が多かった.

子どもの頭を電卓にする有名塾

子どもが机に向かっていれば安心する母親

「先生、これ、社会に出てから使うことあるのかなあ」
「使わないわね。数学が必要な仕事でなければ」
私は彼の頭を指でつついて、
「ここを変えるためなのよ」と言った。
「つまりね、論理的な考え方ができる頭にするためなのよ。」
と言った。よくのみこめないという顔をしていたので、さらに続けた。
「数学は論理なのよ。1+1=2が論理のはじまりかな。」
(中略)
「先生がいつも言う、『基本の意味を理解しなさい』は、『基本を論理的に理解する』ということよね。
大学の勉強なんかは、論理的な頭が必要なのよ」

そう。教育は待つことなんですよ。
お母様、子どもにまかせて待つんですよ。
この子はきっといつかやる、とお母様が信じていれば、
子どもはそれに応えるものなんですよ

私は何十年も前、長女が小学生のときの誕生日プレゼントに、
日本と世界の名著を児童向けにした文庫本の全集を買った。
成人してから彼女は
「そのときから何年かの間、本が嫌いだった」と言った。
次女は中学で夏休み前に課題図書として、古今の名著の題名が30ばかり
並べられたプリントを配られ、ひとつを選んで感想文を書く宿題を出された。
のちに彼女は
「そのときから、しばらく本が読めなくなった」
と言った。

子どもができるまで待つ。
それは「この子は必ずできる」と信じることだ。
最近の親はこれができない。

親に「つぐなえ」と迫る子もいた。
そして親はみな「子どものためと思ってしたことなのに」と言う。


僕らが保護者に言いたいこと、訴えたい事に近い事を、
実際の勉強を教えながら何十年と実践されてきた著者による事例の数々は圧巻。

結局の処、一番の問題は、親も子供も「表面上の形式しか見てない」という一言に尽きる。

「形式」とは
・テストで点がとれた
・意味はわからないけれど、答えは出る
・問題のパターンはたくさん覚えました
・有名な学校に行けた
・(子どものやりたいことを切り捨ててでも)普通の人生を歩んでいる
・(子どものやりたいことを無視しても)安全でリスクの少ない人生を推奨する

こんな所だろうか。

併せて読みたい:

天外伺朗
教育の完全自由化宣言-―子どもたちを救う七つの提言
http://www.amazon.co.jp/dp/4870318350/ryouen-22/
#「いじめが起こる原因」についての考察が秀逸。
#「お母さんは勉強を教えないで」にある「子どもたちは生き生きといじめをする」に絡めて。


三谷宏治
トップコンサルタントがPTA会長をやってみた 発想力の共育法
http://www.amazon.co.jp/dp/4862760317/ryouen-22/
#子どもたちに「ヒマ」を与えよ、というのは親の「待つ」に近い。