P.F.ドラッカーのマネジメントを読んだ。/174753

P.F.ドラッカーのマネジメントを読んだ。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4478410232?ie=UTF8&tag=ryouen-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4478410232

実務経験の無い学生の僕にとっては中々重い本だった。
ドラッカーは組織には5つの形態:職能別・チーム型・連邦分権型・疑似分権型・システム型があるというが、そのうち、職能別組織(劇団)、チーム型組織(LLP,他)にしか所属した事がないので、そりゃ分らないのもうべなるかな、という感じではある。「トップマネジメント」を目の当たりにした事も無ければ、取締役会に出た事も無い。

そういうわけで、Part1:マネジメントの使命、Part2:マネジメントの方法、Part3:マネジメントの戦略と分割された中で、僕でもある程度しっくりと理解できたのはPart2くらいでした。
学生で「ドラッカーのマネジメント読みました。マネジメントの意義と方法が良く分かりました!ためになります!」とか言ってたら嘘つけと思いますね(笑)

■マネジメントとは?

組織をして高度の成果をあげさせることが、自由と尊厳を守る唯一の方策である。その組織に成果を上げさせるものがマネジメントであり、マネジャーの力である。

というドラッカーの力強い主張に顕れているように、
我々の社会には企業、病院、政府など、様々な「組織」がある。そういった組織無しに、もはや我々の社会は立ち行かないわけです。そして、その組織に成果を上げさせる「責任」に由来する客観的な「機能」をマネジメントと呼ぶといいます。

マネジメントの役割は3つ。(1)組織特有の使命・目的を果たすこと、(2)働く人々を活かすこと、(3)社会への影響を処理し、社会問題解決に貢献すること。


◆企業とは何か
それでは、「組織」と言った時にすぐ思い浮かぶ「企業」を題材に、マネジメントについてみていきます。

◇企業の目的
企業の目的は営利であるとか、儲けであるとか言う人もありますが、そうではなく、企業の目的は「顧客の創造」です。顧客は、企業の売るモノやサービスを買うのではなく、モノを得たりやサービスを受けたりする事で得られるもの:「効用」を買います。どういった効用が求められているのか、欲求を発見したり、創造したりすること、そして、欲求を有効需要へ変えることが「顧客の創造」です。

◇企業の機能
企業の機能はたったの二つです。すなわち、マーケティングとイノベーションです。マーケティングとは、顧客の欲求や価値、現実などを理解し、その顧客へ、製品やサービスを合わせる事です。イノベーションというのは、あたらしい満足を創出することと、人的・物的資源を用いた富の産出能力を増大させたり、転換させたりすることです。

◇生産性と利益
企業の生産性は、生産要素の組み合わせによって決まります。生産要素は、会計的な資源である、労働や資本や原材料に加え、6つのものがあります。すなわち、
(1)知識、(2)時間、(3)製品の組み合わせ、(4)プロセスの組み合わせ、(5)自らの強み、(6)組織構造の適切さ です。
そうして、企業は生産性を高め、利益を得るわけですが、利益にも機能があります。利益の4つの機能とは:(1)成果の判定基準、(2)リスクへの保険、(3)労働環境向上の原資、(4)社会的サービスや満足向上の原資 です。

◇事業は何か
マネジメントをするにあたり、「事業」を定義する事が大切です。これは、事業定義そのものが、「リスクを伴う意思決定」の指針となるからです。「我々の事業は何か」は常に問われるべきだと言います。
事業定義の方法は、マーケティングと同じで、顧客からスタートする事です。顧客は誰なのか?(最終消費者だけであるとは限りません)、顧客はどこに居るのか?、顧客はどんな効用を買うのか?(高級車は移動手段を買うのではなく、ステータスという効用を買うのです)こういう所から、事業定義が始まります。

 その事業は将来、何になるのか、という事を考えるのも大切です。予測可能な唯一の変化である、人口構造の変化や、市場構造の変化―すなわち、経済構造・流行と意識・競争状態 の変化―そして、顧客の満たされていない欲求は何か、という事を考え、事業の未来を予見します。そして同時に、事業のあるべき姿、「我々の事業は、何であるべきか」を考えます。

 そうして、常に「われわれの事業のうち、何を捨てるか」ということ、業績に貢献せぬものの、体系的な廃業を進めます。


◇事業の目標
 そういった事業には、目標が必要です。企業の機能はマーケティングとイノベーションですから、まずはその二つへの目標が必要です。

マーケティング目標には、戦略目標と具体的目標があります。戦略目標とは、集中の目標と、市場地位、すなわち、シェアの「最適」部分を目指すという目標です。具体的目標とは、既存の製品やその廃業、既存市場での新製品、新市場、流通チャンネル、アフターサービス、信用供与に対する目標です。

イノベーション目標には3つあります。第一に、製品とサービスのイノベーション、第二に、市場および消費者の行動/価値観におけるイノベーション、第三に、製品を市場に持って行くまでのイノベーションです。

その他、経営資源(ヒト・モノ・カネ)目標、生産性(各生産要因のバランスをとる)の目標、社会的責任の目標、費用としての利益の目標を考え、
それら目標を(1)利益とのバランス、(2)短期と長期のバランス、(3)目標間のトレードオフの中で、バランスをとっていかなくてはいけません。


◇戦略計画
 事業には戦略が必要ですが、戦略計画とは、リスクを伴う起業家的意思決定の事、そして、その決定の実行に必要な活動を体系的に組織すること、それら活動の成果を期待した成果と比較測定する事です。

その為にまずやるべき事は、「もし、今日これを行っていなかったおしたら、改めて行おうとするか」を自らに問い、もしその答えがNoであれば「いかにして一日も早くそれをやめるか」を問い、しかる後「何をいつ行うか」を考えることです。



■マネジメントの方法

複数の人間が協力して、意志を疎通させつつ多様な課題を同時に遂行する必要が出てきたとき、組織はマネジメントを必要とする。

◆マネジャー
マネジャーとは、組織の成果に責任を持つ者の事です。


このような役割、仕事があり、かくのごとく職務設計し、目標設定し、自己管理する事が大切で、そして何より、マネジャーの条件となりうるのは「真摯さ」です。

真摯さとは何かを規定するのは難しいですが、マネジャーとしての真摯さに欠ける条件を挙げるのはたやすく、それは:
×強みよりも弱みに目を向ける
×何が正しいかより、誰が正しいかに関心を持つ
×真摯さより頭の良さを重視する
×部下に脅威を感じる
×自らの仕事に高い基準を設定しない
この5つです。

Part2のこのマネジャーについての知見は、学生でもある程度は活かせる気がします。

◆併せて学生で読めそう:
プロフェッショナルの条件
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4478300593?ie=UTF8&tag=ryouen-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4478300593

断絶の時代
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4478190380?ie=UTF8&tag=ryouen-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4478190380

3分間でわかるドラッカー−「経営学の巨人」の名言・至言「若い方へ」
http://www.iot.ac.jp/manu/ueda/column2.html