自分の小さな「箱」から脱出する方法/163345

http://www.amazon.co.jp/dp/4479791779/
という本を、anzu君(http://mind-set.jp/contents/blog/2008/09/post-8.htm )から勧められて読みました。

結論から言うと、ここ3ヵ月で読んだ60冊の本の中でも、かなりの上位に入る、いい本でした。

(その他、ここ3ヵ月で読んだ本はこちら:http://book.akahoshitakuya.com/u/2037


以下、レビューとしてエッセンスを纏めますが、
実際に買って読むといいと思います。
2時間くらいで読めます。

ただ、何度か投げ出したくなります。自分の事を言われているので。

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すべての人は、自分の小さな「箱」に入っています。
すべての人が。


人は、生きていく上で、とても多くの選択をします。

そして、その選択は
・自分の心に従う選択
・自分の心に背く選択

この二つの選択があります。


自分の心を、感情を裏切った時、人は「箱」の中に入ります。

箱の中に入ると、二つの破滅的な事を始めます。
・自分の能力、状況、仕事の重要さの過大評価を始める。
・他人の苦難を当然の報いと思ったり、欠点を重大な欠点と見始める。

すなわち、
・自分の正当化を始める。
・他人を人間ではなく重要でない「モノ」のように扱い始める。
ようになります。


例えば、こんな状況に陥った事はないでしょうか?

・電車で座っていると、疲れた老人が近くに。
・咄嗟に、「席を譲ってあげた方がいいかな・・・?」←自分の心・感情
・しかし、席を譲らない事にした。
・譲らないことを決めて【からその後で】、理由が浮かんでくる。
・今日、部活頑張ったし、疲れているし、眠たいし… ←正当化
・譲ろうとすると失礼かもしれないし、周りの人だって譲ってないし、m割の人は僕をいい子ぶってると思うかもしれないし… ←モノ化
・「だから、譲らなくてもいいんだ!」


自分の気持ちを全うする事ではなく、
はじめの気持ちを裏切って、そして、余計な正当化や、周りの人間を貶める事にエネルギーを使う事になります。

学校や職場、家庭でも同じです。
いや、電車の中よりも長い時間居る分、「箱の中に居続ける」影響はより悪い。


きっとあなたには、嫌いな人の一人や二人は居るでしょう。
多くの場合、その人に対し、あなたは箱に入っている。
すなわち、その人をしっかり見る事ができていない。
その人を、人間ではなく、モノとして見ている。

そしてあなたは何を始めるか。
「仲間」を作る。

「アイツ、嫌なやつだよね」という事に同意してくれそうな仲間を探す。
そして、仲間と共に「箱」に入る。
「われわれ」が、いかに被害者なのか、あるいは、あんな「嫌なやつ」にどれほど尽くしてやっているか、という正当化を始める。
「嫌なやつ」の欠点は、現実よりも重大な欠陥のように思われて来、彼を心底、人ではなくモノのように扱う。


人間は、馬鹿ではない。
だから「嫌なやつ」だと思われた方は、自分が人間として扱われていない事に気づく。
あなたは、自分を人間扱いしない人と、仲良くなりたいですか?そんな人の言う事を聞きたいですか?
―もちろん、聞きたくない。
だから、思われた方も、箱に入る。

あなた方は、いつもつるんでこちらを馬鹿にしたような態度をとり、
人間らしい心を持ち合わせていない屑だと。
そして、「わたし」は、そういう心ない奴らと同じ職場・同じ教室に居させられる被害者だ、と。

こうして、お互いに、相手を人間扱いしなくなり、
お互いに、より強固な、より昏い、箱の中に閉じこもる事になる。


―じゃあ、もし相手が「ほんとうに」「嫌なやつ」だったら?
「ほんとうに嫌なやつ」は確かに存在するだろう、だけど、箱の外に出て、接する事はできる。

相手を本当に、人間として扱っていれば、相手が「そんな嫌なやつ」のままで放っておこうと思うだろうか?「このままでは君は、すべての友達を喪うよ」と忠告して、手助けしてあげたいと思うのではないだろうか。

そう、箱の中に入ると「欠点」が誇張されて見える。
箱の外に出ると、「正しい事を行う事を援助する」事ができるようになる。

考えても見てほしい。会社で上司が嫌な人間なら、上司をクビにする事はできないのだから、
・自分が転職するか
・その上司の元でも成果を出せるように何ができるか考える
しか、状況を変える術はない。
愚痴を言い続ければ、上司が変わるなんて、そんな事は期待できない。


「あいつのせいで」と、自分以外の何か他人のせいにしかけたら、自分が箱の中に居る事を疑った方がいい。

他人と張りあったり、抵抗したりするのではなく、他人を一人の人間として、感情があり、葛藤があり、人並に感じ、考える人間として扱おう。

この「ベース」が無ければ、いくら「上手な話し方」「上手な褒め言葉」などの、表面的なコミュニケーションスキルを学んでも意味がない。


誰もが、箱に囚われている。
そして、箱から出続けて居られる時間は本当に短い。

だから、できるだけ自分の箱から出続けていられるように、
自分の感情に正直になろう。
そして、「箱」を探してみよう。

箱の中に居ると、「自己正当化」「他人の欠点を視る」事に集中する事になる。これでは成果が出ないし、エネルギーを使い果たしてしまう。
箱から出てはじめて、成果や貢献に集中する事ができる。ありのままを見て、よりよい判断を下せるようになる。


「そんな馬鹿な」と思ったあなたにこそ、この本を手にとって、読んでみてもらいたい。
良くできた小説仕立てで、上に書いたような話がリアリティを持って迫ってくる。

一生を箱の中で生きるか、
少しでも外に出て生きられるか。

そういった事が、ストーリーと共に流れ込んでくる。
お勧めの、一冊です。