アイとイーとパイのお話 ふたたび/110809

博士の愛した数式」放映後、アクセスが跳ね上がり、なんだか需要があるみたいなので、http://d.hatena.ne.jp/starbow/20070412 のエントリーに追記してみました。
追記分も含めた記事全体は
http://d.hatena.ne.jp/starbow/20070412
及び
http://mod.mods.jp/070523_euler.pdf (pdfファイル)で見る事ができます。
追記分の記事は、以下です。

eと遺伝子

また、このカテナリーを、x = 0 の直線を中心に回転してやると、下図のような形状になる。



この形状は、シャボン玉を作るプラスチックを二枚重ねてシャボン液につけて、二枚を開いた時に、シャボン膜がつくる形状だ。


 



要するに、シャボン玉が普通の状態であれば球が一番安定した形状なのと同様、二つの円を介してシャボン膜が張られる為には、この形状が一番安定という事になる。もし、最短距離であれば円柱形状になるはずだから、最短距離をとるよりも、この形状の方が安定、という事になる。

さらに、このカテナリーを回転させた立体を、鋏で切って伸ばしてやる。


 



この形状には、もう一つの安定点があるのだ。そこで、カテナリーの回転体に似た形状を持つ実際の物質、ヤクルトの容器で実験してみよう。



 




まず、ヤクルトを以下のように切り取ってやる。



 


切り取ってやって、捻りを入れてやると、以下のような感じで安定する。



 



この形状は、要は下の図で、「枠」と書かれたような形状を作り、シャボン液につけた時、シャボン膜が形成する形状となる。つまり、この形状が、シャボン膜や、同様に「この形状に貼られる膜」にとって、もっとも「安定」なのだ。



そして、これが、遺伝子の二重螺旋の構造なのだ。この「枠」のような形状をしているのは、この形状がフレキシブル(よく曲がるが折れにくい)
であり、その二重螺旋の中(=シャボン膜の位置) に「青写真」を格納しているのは、そこがこの形状において、もっとも負担が掛かりにくいからだ。

eの定義と借金の利子

このe の定義の一つである、(1+1/n)^n というのは、少しイメージしにくいかもしれない。これは一体、どういう事だろう?

例えば、こんな情景をイメージしてほしい。あなたはA さんにお金を一万円貸した。利子は1 年間で二倍の約束。年率100% だ。(違法である!)


 



 


しかし、半年ごとに利子がほしくなったあなたは、半年で50% の利子をつける事にした。


そうすると、こうなる。



 


同じように、年4 回利子をとる。3 ヶ月で25 % にして、年8
回にして、というように利子をとるタイミングをどんどんと増やしていく。すると、「年率」は合計100% にもかかわらず、返してもらえるお金がどんどん増える。

 



 


あなたは、これはもう無限に儲かるんじゃないか!?との期待を胸に、利子を取るタイミングをどんどんと短くしていく。毎日、毎時間、毎秒。


そして、毎秒無限回利子をとると、こうなる。どこまでも増えていくと思えた返してもらえるお金は、実は

 



e に収束するのだ!これが、e の一つの定義だ。

三角関数を自乗して足すと1になるワケ

この定義でいけばsin^2 θ + cos^2 θ = 1 になるのは当たり前だ。


なぜだろうか。それは、まずは下図を見てほしい。ピタゴラスの定理(三平方の定理) から、A^2 + B^2 = C^2



になる。そして、A = cos θ, B = sin θだから、cos^2 θ + sin^2 θ = C^2となる。ここでC というのは、半径1 の

円の一つの半径だから、当然、C = 1, C^2 = 1 となる。よって、

sin^2 θ + cos^2 θ = 1 が示せた。

070523 石井 遼介