やわらかい「なぜ」を探す。/211426

「Why!?」という言葉がある。

なぜ、どうして?
理由を問う言葉だ。


Whyを突き詰めて、真因を究明していくのは、およそ何か問題を解決するためには避けては通れないプロセスのひとつだ。

だが、この日本において、恐らく「なぜ」は厳しい言葉だ。責める言葉だ。

なぜなら、何か失敗をしてしまったとき。何かやってはならない事をしてしまったとき。
そういう時にだけ、この言葉が使われるケースが多いからだ。

「どうして、そういうことをしたの」
「なぜ、そんなことするんだ」

これは、原因追求のWhyではなく、真因究明のWhyでもなく、
単に、「責めるためのWhy」だ。

このWhyが暗示するのは、
「きちんと考えられないやつめ」とか
「マジでやめてくれ」とか、そういうことだ。
そういう拒絶のための、叱責のためのWhyだ。


そして往々にして、
「なぜ成功したの?」
「なぜ上手くいったの?」
「どうしてそんなに素晴らしいの?」

と言った事は問われない。
成功することは稀であり、その稀なことにこそ、Whyが問われるべきであるのに!


だから、
この国の人は、「なぜ」「どうして」を問われると、緊張する。
この言葉には、人を、真因究明よりも、言い訳や保身へとドライブする傾向がある。

そんなわけで、
相手が失敗したとき、あるいは、相手が失敗したと思っているとき、
「その“失敗”を責めているのではなく、ただただ、その改善を手助けしたいのですよ。
その改善というのは、具体的な行動を変え、異なる結果を創り出す事で、責任を追及したいのではないんですよ。
そのためには、あなたの思考や行動のプロセスを知る必要があって、良かったら、どんな風に考えたのかを教えてほしいんですけどー」

という、意味を込めて「なぜ」を問う必要がある。
しかし、その意味を込めても、この「なぜ」は「叱責」にとられる事が多い。
例えば、「なぜ」に対し、理由の説明ではなく、謝罪が返ってきたり。


だから、
「Whyの言い方」が一つのテーマになる。
「なぜ」を遠まわしに聞く必要がある。

・どうしたらもっと、上手くいくんだろう とか
・どこが原因で、上手くいかなかったんだろう とか
・目標と現実を整理してみよう とか。


そんな、やわらかい「なぜ」を探している。

ライフネット生命 開業1周年セミナー

Lifenet生命
http://www.lifenet-seimei.co.jp/
の開業一周年セミナーに行ってきた。
出口氏・岩瀬氏のお話を伺った。

以下、Point記載

  • Lifenet生命の1年の振り返り (出口)
    • 3つのビジョンは実現したか
      • 保険料を半分にするから安心して赤ちゃんを産んでほしい
        • そして生命保険料は半分になった
      • 保険料の不払いをゼロにしたい
        • 商品のシンプルさが不払いをなくす
        • 3重チェックシステム
      • 比較して納得して入る習慣を作る
        • 比較ボタン on WEB
          • 殆どの客は戻ってきてくれる
          • マーケティング上どうか
        • 手数料を開示
        • 多様性が大切
          • 好きな処で
          • 比較できる情報があって
          • 買う事が出来る
    • 経営方針
      • 真っ正直に経営する
        • 業績は毎月開示
        • 付加保険料の開示
        • お客様との集い
        • 人事評価にマニフェスト
        • お客様に見えないリスクを最小限にする
          • 掛け捨て→100%保護される
          • 株もFXも一切やらない
      • 生命保険をもっとわかりやすく
        • もっとも条文が少ない約款の実現
        • 支払自由を明確化
          • 死亡
          • 入院
          • 手術
        • ウェブサイトの工夫
          • 知らなきゃ損の保険の仕組み
      • 生命保険を安くする
        • 20〜30代に一番安い保険を
      • 生命保険をもっと手軽で便利に
        • ネット生保を実現
          • 24時間×365日
        • 平日は夜10時まで繋がるコンタクトセンター
        • 6月より世界初のモバイル生保を開業予定
    • ライフネット生命のチャレンジ
      • 認知度の向上
        • オンライン調査で6%
      • 商品サービス開発
        • 我々しかできないことをやる
        • 我々がやりたくて、お客様のニーズがあることを
        • これが優先順位
      • ライフネットを応援して下さい
        • 保険に入ってください
        • 口コミしてください
        • ブログに書いてください
        • 志バナーを貼ってください
        • どこへでも行きますから講演へ呼んでください
    • Q&A
      • 出口と岩瀬が居なくなったらどうなるか
        • 子育てと同じではないか。
        • 一生懸命育てても、どうなるかわからない。
        • 色んな人の影響を受けて、子供は育ちますね。
      • どう保険を見直せば良いのか
        • 保険はリスクマネジメント論で語られる事が多いが、 先月まで払っていた保険料と、来月払う保険料で、 安くなる方が良い。
      • ライフネットの差別化
        • 差別化の方法は無い。が、コンビニや蕎麦・カレーライスと同じで、 シンプルで真似がしやすくてもお気に入り・おいしい店が残るだろう
      • 20代にとって必要な事は何ですか
        • Inputを増やせ!
        • FACTAって面白い雑誌がある。編集長が活字中毒
        • 人間の生産性は大脳しかない。
        • なんでもInputするといい
        • 人と人の社会を知ること
        • 読書や英語やMBAや大学だけが自己投資ではないよ
        • Inputはお金を使う事
      • 今後のライフネットの戦略・長期ビジョンは何ですか
        • マニフェストに尽きる
        • 正直に経営をする よりわかりやすい商品を より安くして まずは日本に根付かせる
  • 開業一周年を迎えて (岩瀬)
    • はじめてみて予想外だったこと
      • ゼロから生命保険会社を作るは大変
        • 免許出ない
        • お金が集まらずに閉じてしまう会社が多かった
        • なんとか2年がかりで132億円集めて免許とったよ
        • ヒト モノ カネ 免許 の鶏と卵
      • 奥が深くて面白い
      • 生保ベンチャーの人材採用
        • 予想外に若くて優秀な人が集まってくれました
      • 出口社長が意外と若い/若者にもウケル
        • Cf.IT Media記事
      • やっぱり生保に入って貰うのは大変
        • ネット生保モデルも容易じゃない
    • 考えたこと
      • 10年後にアジアで最も輝いている保険会社になる
        • と、出口に言われ、 最近はいけるかも、と思えてきた
      • きちんとした価値の説明+ランキング or お墨付き
      • Mobileというプラットフォームでのノウハウを
        • Cf.PCuser x2 = mobile user(mixi)
      • ライフネットへの想い
        • 本当に価値のあるものは、簡単に手に入らない
        • 簡単に手に入るものは、それほど価値がない。
        • じっくり、あせらず、大きく育てていきます(だから保険に入って下さい)
  • Q&A Corner
    • 保険料と利益のバランスは?
      • 保険は基本には薄利多売の商売です わかりやすくて安くて便利なもの
      • その中で事業を効率化する
      • 理念Based Pricing >> Value Based Pricing
    • 長期のモノである生命保険を、どう現在から価格付けするか
      • 基本的には統計ベース
      • 人が多いので大数の法則的にOK
      • 保険料のプライシングを間違えて潰れた会社は無い
    • シンプルすぎて、選択性が失われるのでは?
      • 原点はシンプル。保険料を上げたく、比較されたくないので複雑になっていった。
        • 一社専属(自分の会社の商品しか売らない)
      • Net生保がやりたいのではなくて、新しい求められている、高コスト体質でないものを作りたい
    • ライフネット生命 VS さらに安い会社
      • 人件費は我々のモデルではそんなに高く無い
      • 広告宣伝・システム・ブランディング・サービス戦略で勝負
      • 怖いのは、ユーザーをたくさん抱えたネットサービスの会社が本気でやってきたとき
      • 我々は価格で負けてはいけない(一番コスト効率が良い)
    • Vision の他にやりたい事は?
      • 3つのVision、4つの経営方針を(しばらく)変えるつもりはない。
      • 高齢化社会に興味がある
      • 海外展開も10年以内にする
      • 生命保険には3つしかない。死亡保障・医療保障・老後保障
      • 死亡保障
        • 日本は高すぎる
      • 医療保障
        • 民間は林立しすぎ
        • ニーズに応えていないのでは?
      • 老後保障
        • 年金が弱くなってきた
        • 老後まで含めたアセットマネジメントは絶対できないよね
    • 出口さんでも予想外だったことは
      • 圧倒的に予想外だったのは、こんないいチームができるとは思わなかった。
    • 運用ナシは長期でみたらリスキーでは?
      • 2,3年目になったらやるかも
      • 商品にもよる。死亡保険などであれば「増やしてくれ」という保険では無い
    • Why アジアで一番?
      • 100年後には世界で一番!
    • Bグループ保険に較べてはどうか?
      • ライフネットはBグループのバラ売りだと思ってください
    • 生命保険をみんな、買いたくないのでは?
      • その通りではないでしょうか
    • 銀行保険がこれだけ広まったのは
    • 共済との住み分けは?
      • 八ヶ岳。 違う入り方の同じような峰がたくさんあった方がいい
    • 人材採用のポイント
      • 9割以上が2経路
        • 自主応募(Blog/記事)
        • 社員の推薦
      • どういう人が集まったか
        • ネット生保面白い!
          • 面白さを共有してくれること
        • 専門家/職人
      • 共通点
        • 掃除機はダイソン
        • 姐さん女房
    • モバイル展開
      • ケータイで完結しない?
      • 株主(リクルート・7&i)のリアル店舗/リアル顧客から繋がるのでは
    • 安心・安全へのアピールを
      • 掛け捨てしかやっていないので、100%保護される
      • 数字的に言えば、ひと株当たり純資産を見るように ご契約者あたり資産がどのくらいあるかを見ると大手保険会社の10倍以上ある
    • 理屈で無い、粘着性の部分をどうするつもりか
      • 誕生日が翌月(保険料が上がる)の方に締切つきで手紙を出すとイイよ
      • メール・電話・オフィスなどでリアルの営業に近い形で、かつコスト効率よく、うっとうしくなく相談をしている
    • 経済的合理性だけでは割り切れない部分
      • 人間は圧倒的に強いので、Internetを含め、機械は人間に勝てない!
      • 人間が保険を売る事が、どこまで続くんだろうか?
      • 最高のセールスマンには勝てなくても、これだけInternetがあれば、サービスで近づく事はできるのでは
      • 安くしよう、便利にしようと思った時、人件費が何よりも高い。
      • 僕たちがやりたいのはネット生保ではない。今の時代に求められるものを届けたい。
  • まとめ
    • 岩瀬
      • 行動が違う運命を作る
      • 身の回りに60の人が居なかったので、新鮮だった。
      • 60になったときに30歳のヤツを捕まえて一緒にベンチャーやりたい
    • 出口
      • ほんとうにありがとうございました。
      • みなさんのサポートがあったお陰です
      • 2年目、3年目もまたこうやってお会いできる事を楽しみにしています。
      • 僕の知らない間に社内に運動クラブが6つもできたことが嬉しいです。
      • 今日は本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします!

非常に理念Basedに経営を行っているように感じられた。
理念がMBAに「勝つ」という感じか。
面白い会社だと思った。

誕生日プレゼントお勧めセット/207541

友人が誕生日だったので、
http://d.hatena.ne.jp/starbow/20090428/1240931374
でも触れた日本理化学工業の「キットパス」を使ってプレゼントを企画した。


この12色の「キットパス

http://www.rikagaku.co.jp/items/kittopasreversiblepanel.htm
キットパスリバーシブルパネル

を組み合わせて

  • 誕生日パーティをやる
  • プレゼント授与コーナーに移る
  • メンバーでキットパスボードに「その場」で「考えてきた寄せ書き」を書く
  • キットパスごとプレゼントを上げる

というのをやりました。

  • 「その場で描く」ライブ感を出せる
  • キットパス自体の汎用性(プレゼンテーションする人ならだれでも!/ガラス・ホワイトボードに書ける)
  • カラフルに寄せ書きを書ける

などなど、多くの利点があるキットパス
プレゼントにも使えました★☆

みらい04―ダニエル・ピンク『ハイ・コンセプト』/206370

ダニエル・ピンク著『ハイ・コンセプト』を読んだ。
『ハイ・コンセプト』とあるが、原題は"A Whole New Mind"(新しい全体的思考)である。著者ダニエル・ピンクは「フリーエージェント社会の到来」などでも有名であり、農業の時代、工業の時代、情報化社会の「三つの波」の次に来る第四の波:「コンセプト社会」の到来を告げる。

次の三タイプの人は成功する可能性が大だということだ。それは、「境界を超えられる人」「発明できる人」「比喩を作れる人」である。
(p212)

  • 未来の社会・未来の経済はどうなるか?

コンセプトの時代になる。
コンセプトの時代とは、

      • ほかの国で安くやれない
      • コンピューターではできない(反復的でない)
      • 豊かな時代の中でも需要がある

ようなもの、すなわち【コンセプト】を産み出す時代ということだ。
豊かさによって、アジアの安価な労働力によって、またコンピューターのオートメーションによって、これまでの仕事はより競争が激しくなり、単純な仕事から置き換えられる。
既に、弁護士の仕事、医師の仕事のうちの一部はソフトウェアに置き換えられつつある。

筆者はこのようなコンセプトの時代にあって、【ハイ・コンセプト】と【ハイ・タッチ】すなわち

ハイ・コンセプトとは、芸術的・感情的な美を創造する能力、パターンやチャンスを見出す能力、相手を満足させる話ができる能力、見たところ関連性のないアイデアを組み合わせて斬新な新しいものを生み出す能力、などである。
ハイ・タッチとは、他人と共感する能力、人間関係の機微を感じ取れる能力、自分自身の中に喜びを見出し、他人にもその手助けをしてやれる能力、ありふれた日常生活の向こうに目的と意義を追求できる能力、など
(p103)

が重要であるという。

例えば「ハイ・コンセプト」な医師を育てるためコロンビア大学医学部では学生は「物語医学」を学び、イェール大学医学部ではイェール・イギリス美術センターで絵画を学ぶ。前者は、診断における重要な部分は「患者が語る物語」に隠されているという気付きからきたもの、後者は絵画を学ぶ学生は患者のコンディションのごく細かい部分まで気づく能力に長けているという気付きからきたものである。

    • 未来の社会が要求する6つの感性とは
      • 機能だけではなく「デザイン」

機能が「実用性」であるとすれば、デザインは「有意性」と「実用性」の組み合わせである。良いデザインのものを見つけたら記録しよう。

      • 議論よりは「物語」

「物語」は思考の根本的な道具。
「英雄の旅」「神話モデル」の物語は

        • 旅立ち
        • 新たな世界に入る「イニシエーション」
        • 帰還

この3つの部分から成る。

小さな短編物語を描いてみよう。質のいい短編を読もう。

      • 個別よりも「全体の調和」

調和とは、バラバラの断片を繋ぎ合わせる力。分析の逆、統合の力のこと。
「境界を超える」「発明する」「比喩を巧みに使う」ことはこの調和の力による。調和を奏でられる卓越した人は、パターン認識に優れ、全体像を見据え、繋がりを考える。
調和の力を身につけるために、「みたまま」の絵を描いてみよう。象徴的なイメージ、記号として左脳で記憶されたものの採用ではなく、見たままを。他には、優れた交響曲を聞くこと、普段絶対に読まない雑誌から学ぶこと、いいたとえ話を書き留めること、などがあげられる。

      • 論理ではなく「共感」

共感は、コンピューターには真似ができない(いまだ2人の顔を見分けることすら難しい)。コンセプトの時代にあっては、論理力に加え、共感が重要である。共感は生きるための倫理であり、国や文化を超えて人々を結びつける普遍的な言語である。

      • まじめだけでなく「遊び心」

「何事も楽しんでやらなければ、まず成功しない」サウスウェスト航空の綱領にこうある。遊びは、ゲーム・ユーモア・喜びに代表される。ゲームを遊ぶ子供たちは教室よりはるかに効果的に学びを体験する。ユーモアは人間特有の洗練された知能の表れである。

      • モノよりも「生きがい」

人が追求せずにはいられない、幸福の形、それが意義の追求だ。
90歳になったとき、自分は何を達成しているか、何に貢献したのか、そして何を公開しているか考えてみよう。あるいは、今あなたが20億円持っていて、残りの人生は10年しかないとして、今やっていることをやり続けるだろうか、と。


これら6つの「感性」が必要だと言う。

また、これらを違う観点からとらえれば、以下の2つが、これからの時代に求められる資質だということができる。すなわち、

    • エキスパート思考

決まった解決策が存在しない新しい問題を解決する事

    • 複雑なコミュニケーション

説得、説明、その他の手段で情報についての特定の解釈を伝えること。

だと言う。
“左脳偏重”の学校教育を受けてきた、すなわち、コンピューターに入れれば一瞬で解けるような算数や数学の授業を受け続け、検索すれば一瞬で答えがでるような事項を暗記させられてきた我々は、それらの力に加え、確かに「デザイン・物語・共感」の力を磨く必要があるように思う。

ビジネスとは顧客の問題解決であるとすれば、“惻隠の情”―共感の力は、確かに、たしかに顧客の問題に気づくための最初の一歩でありうるだろう。

◆編集後記
Re:伸びる学生・伸びない学生
http://mind-set.jp/contents/blog/2009/05/post-51.htm

責任感が高い人は、それまで悶々と過ごしていても、
一歩アクションに移すととたんに伸びていく気がする。

その責任感というのは別にたいそうなものじゃなくて、
期日を守る、とか、途中で投げ出さない、とかそういうレベルで良い。
特に派手な技能や才能が一見なくても、そういう人はグンと伸びる。

一方で、簡単に期日を破れてしまう人、
途中で投げ出して言い訳や現実逃避する人、
しょぼいアウトプットでも自分を許せる人、
こういう人は色々やってもあんまり変わらない。

よく"意識が高い"学生とかいうけれど、
意識が高くても責任感が低い人は不思議と伸びていない。

責任感は、
・いかにownership(=これは自分の立ち向かう問題だ)を持てるか。『自分ごと』として捉えられるか、に依存するように思う。

「(他の誰でもない私が)嫌われたくない」とか「お金が貰える」、というのは、ある意味では「自分ごと」として捉える手段:すなわち、自分の具体的な不利益や利益と、目の前のタスクを結び付ける、ということが、「自分ごと」を引き出しうる。

もう一つ、
「そういう立場になる」こと。まさにあなたがタスクやプロジェクトのオーナーになる、ということ。そういう機会や立場が与えられること、自分で勝ち取ること、宣言すること。これらがオーナーシップと責任感を生み出す。


翻って、責任感の無い人、責任感の乏しいと見られる人は、他人と協同するプロジェクトにおいて、プロジェクトのオーナーシップより、「自分だけの問題」を優先することが多い。ように思う。

そしてそれはきっと、「いま」の誘惑や、「キリのよいところまで」の誘惑に弱いせいじゃないだろうか。「いま」自分がこれをやり続けていたいから、次の約束に遅れてしまう。自分が「キリの良いところまで仕上げたい」から、ざっくりとした情報でもよいから、という相手の要望を無視して、「仕上がるまで時間をかけて」しまう。


責任感のある人は、今を見つつも、プロジェクトのゴールを。自分のことをしながら、他人との約束も。両方を見ている。

何より、目的に優先順位をつけるのが巧い。行動に移すのが速い。窮地でも逃げない。犯人探しより価値創造が、言い訳より対策立案が浮かぶ。そのように自己改造できる。

僕は自分が「Ownershipを持つと決めた」ものについてはそうありたいし、そういう人と協働したい。

レアジョブ

その加藤さんのサービス、レアジョブにて、いつの間にか無料体験を終え、気がついたら正会員として登録をしていた。
加藤さんの想いや、社会的意義や、そういう事を別にしても、毎日25分話せて5000円は安い。そして面白いと思う。

僕は普段のレッスンでは、ちょっと背伸びをして Article(記事を読んで内容を把握したり)か、Free Talk(自由に話すw) を選んでいるのだけれど、

  • だんだん英語を話すことに慣れてきた
  • 英語に対するアンテナが立ち始めた(英語学習のモチベーションになった)

といったことと、「今日はどうでしたか?」と言った事をはじめ聞かれる事が多いので

  • 一日やったことやその日の学びを、自然に振り返る事ができる

といったメリット

  • 講師の教養レベルは高いので、深めのディスカッションもOK
  • 良く話を聞いてくれるので、純粋に話していて楽しいw

さらには、

  • 終電よりちょっと前に家に帰りたくなる!

といったメリットを感じている。


さあ、英語を話せるようになりたいアナタも、
英語で話したいアナタも、レアジョブへGo!
http://www.rarejob.com/

Mission & Passion

先日も触れた、オンライン英会話レアジョブ代表取締役の加藤さんとお会いし、ランチを頂きながらお話を伺った。

そして、加藤さんがコンサルタントを務める中で磨き、レアジョブを共に創り上げるメンバーに実施している問題解決のトレーニングを、短い時間であったが、受けさせて貰った。

その中で:

・「やらない」事を決める
・まず幅広く全てを網羅する
・実現可能性とインパクトの両方を考える
・Symptom, Cause, Issue, Initiativeを選り分ける

など、まだまだ自分に足りないものが明らかになった。大変ありがたい。


そして何より、
トレーニングの冒頭に込められた「スタッフ向け」のメッセージ:
・スタッフをどこでも通用する人材に育てる事が経営者の責任であると考える。
・と、同時に、どこでも通用する人材になっても、留まってくれるよう魅力的な職場を作り続ける。
という考え方に強く惹かれた。

加藤さん、ありがとうございました!

みらい03―P.F.ドラッカー『すでに起こった未来』/205262

P.F.ドラッカー『すでに起こった未来』を読んだ。

『すでに起こった未来』とあるが、原題は"THE ECOLOGICAL VISION - Reflections on the American Condition"(社会生態学的な見通し―アメリカの条件を振り返る)
であり、社会生態学者ドラッカーの、アメリカ社会と文明に対する洞察を記した書である。

政府は人に何かを明示、服従を求める。企業は人に何かを供給し、支払を得る。しかし、非営利組織は人そのものを変える。非営利組織の成果は、服従でも支払でもない。たとえば、それは全治して退院する患者である。何かを学び取った学生である。人生が変わった信者である。
(p308)

重要なことは、「すでに起こった未来」を確認することである。すでに起こってしまい、もはやもとに戻ることのない変化、しかも重大な影響力をもつことになる変化でありながら、まだ一般には認識されていない変化を近くし、かつ分析することである。
(p313)

社会生態学は、分析することではなく、見る事に基礎をおく。知覚する事に基礎をおく。
(p322)

ドラッカーは、

  1. 観察すること
  2. 問いを立てること

によって、「既に起こった未来」を視ようとしているかに見える。
ではその観察は如何様に行い、その問いはいかにして立てるのか。
以下、ドラッカーの洞察を観察して咀嚼した。

  • 独自のものを見る。常識からの「ハズレ」を見る
    • ドラッカーのアメリカへの視線
      • 先進国のなかでなぜアメリカだけが、最も世俗的な政治とともに、最も宗教的な社会をもっているのか。
      • アメリカに特有の理念と制度は、政治の領域にある
      • 社会学者には、アメリカを特徴づけるものが競争であると信じ込ませようとする者がいる。しかし、それは間違いである。アメリカを特徴づけるものは、民間の自発的な集団を通じた競争と協力の共生である。
    • ドラッカーの、経済への視線
      • 経済活動・経済的合理性はそれ自身が目的ではない。
      • 経済的条件は単に制約条件にすぎない。 人間的目的や社会的目的の手段にすぎない。
    • ドラッカーの、企業への視線
      • 利益に関する最も基本的な事実は「そのようなものは存在しない」。存在するのは、コストだけなのである。
      • すなわち、資金コスト・不確実性に対処する保険コスト・雇用や年金のためのコストである。(例外は純粋独占による超過利益)
      • 経済活動とは、現在の資源を未来にゆだねることである。
      • 利益とは資本主義に特有のものではない。共産主義経済ではイデオロギー的理由から市場経済より遥かに高い利益率の利益を売上高税と呼んでいるだけである。
    • ドラッカーの、技術への視線
      • 人類の発展をもたらしたのは、科学の進歩ではなく、技術の概念の進歩。
      • 技術が科学の概念を変えた。 科学は自然哲学から社会機関になった。


このように、前提を疑い、常識を疑い、常識から外れた現実から本質を抽出している。特に、「利益など存在しない」と、普通の人は言えない。


  • 基礎を精神、人間、組織、社会、文明に置いている
    • 技術について
      • 技術を単なる技術上の現象でなく、人間的・社会的現象として見、社会を仕事と仕事の絆を中心に形成されるものとして見ようとする。
      • 唯一可能な説明は、(18世紀以前)科学と技術が関係あるものと思われていなかったということである。
      • 科学は最も普遍的なものを対象とし、技術は最も具体的なものを対象とした。科学と技術の両者に類似があったとしても、それはまったくの偶然だった。
      • 技術は、既存の知識を集めて体系化し、それらの知識を組織的に適用し、それを公にすることによって生まれた。
    • 情報について
      • コンピュータについて、それが技術的な能力に優れているという理由ではなく、まさに我々に情報を使う事を強いるという理由で、社会に対してきわめて大きな影響を及ぼすと考えた。
      • コミュニケーションと情報はまったく別のものである。しかし、情報が成立するためにはコミュニケーションが必要である。

このように、人間や組織、社会や文明といった視線から、これまで言われてきた事を問い直し、変化の本質を捕まえようとしているように思われる。

◆編集後記
 「社会に対するインパクト」に対する指標を産み出したい。
「会社に対するインパクト」なら、例えば株価がその指標の1になるかもしれない。その数値の振れが短期・長期かということも指標になるかもしれない。

 では、会社や組織の社会に対するインパクトはどう指標化しうるのか。どうやって「幸せになった人の数」×「その幸福の質」を追求していくのか。

 ビジネスは顧客の問題を解決する。すなわち、ビジネスは基本的には社会貢献、あるいは顧客貢献である。しかし、売上高も利益も、貢献以外のパラメーター変化によく反応する。だから、金銭で貢献度を測る事は難しい。

 そして何より、貢献のターゲットにならなかった人、今回の「社会貢献」の「社会」に含まれなかった人、貢献の宛先とされなかった人をその指標に取り込むのか。考えていきたい。

 「社会貢献」を目の前の「あなた」が幸せになる以上のスケール拡大には、そういった指標が必要不可欠であるように感じる。