The first entry / Remember Hatena.

はてなBlogの、位置づけが決まらない。
  • 思えば、最初に使ってみたBlogは、はてなDiaryだった。受験生の頃Livedoor Blogに一時期浮気して、浪人生でまたはてなに戻ってきたのだった。「はてな」高校生の頃の自分に、不思議に心地よい名前だった。はてな。 独特の記法にも親しんだし、アカウントも2つ、3つ持っていた。ひとつはBlog、ひとつは集めたネタの保管庫として。2004年の初期だったと思う。確か、Blogを、始めたのは。
 
  • 2009年が終わると、Blogと疎遠になった。当時のmixi, Twitter, freedom-SNSなど、競合サービスでの人とのやり取りは楽しくて、Blogよりも優れた読み手は、はてなではないどこかに居た。いつのまにか、Blogに何を書けばいいのか、わからなくなってしまった。一時期やっていた本のレビューもやらなくなった。良い記事を書けば、ソーシャルブックマークはプレビュー数を集めたが、そこから人間関係が産まれていくことは無かった。
  • 人間関係といえば、浪人生の頃、単身上京して浪人した。駿台生だった。一人暮らしで、駿台寮でも無かった僕に、最初にできた友達は、僕のBlogを読んでいて、話しかけてくれた人だった。彼と何度かご飯に行って、他の友だちとも仲良くなって、気づけば彼とは疎遠になっていて、彼は駿台から居なくなってしまっていたけれど。
  • もう、その時の気持ちを正確には思い出せないのだけれど、そこには希望があった、ような。Blogを書くことで何かが起こるような、そんな感じがしていた。はてなの製本サービスで、いずれ自分のBlogが本になればいいなと思っていた。はてなは、僕らに何がしかの未来をみせてくれたのだと思う。オンライン上で知り合いだった誰もが、Blogを始め「テキストサイト」がBlogに次々と、駆逐されていった。すくなくとも、そのように見えた。 
 
  • いつのまにか、Blogは乱立しながら勢力を伸ばし、アメブロは芸能人に舵を切った一方、はてなは2005年「はてなブックマーク」をリリースして、それが人口に膾炙しはじめてから、吹き溜まりになった。記事の書き手の「目に付くが削除できない」聖域で、100文字以内の罵倒が日常茶飯事になった。「みんなで、いいものを掘り起こそう」と始まったはずの、はてなブックマークが戦場になっても、はてなは静観を決め込んだ。はてなは書き手にとって、居心地の良い場所でなくなっていった。はてなブックマークが集まると嬉しい。でも、ブックマークで変なコメントがあつまるのも怖い。これが戦略的なダブルバインドの設計であれば驚嘆する。
  • はてなはだから、僕にとっては既に終わった場所だった。気に入っていたけれど、飽きてしまった玩具をなかなか手放せないように、そこにログがあるから残っている。まとまったものを「他でも」書く時に「ついでに」そこに投げておきたくなる。もう、そのくらいの場所に過ぎなくなってしまった。
 
  • 新しいはてなが見せてくれる未来は、あるんだろうか。Ulog( ulog.cc )のデザインは洗練されていないけれど、未来の一端を垣間見れる。そんな未来が見れるなら、もうちょっとだけBlogに夢を、みていたい。

 

信用不安時代の組織・個人の在り方を考える/310277

  • "信用不安"時代

3.11以降、日本に住む僕らに、じわりじわりと信用不安が広がっている。と思う。ここで言う信用不安は何も、金融のそれではなくて、ひとり・ひとり、が、いったい何を信じればいいのか、いったい誰を信じればいいのか、よく分からなくなっていった、という事を考えている。

それはまあ、そのはずで、絶対的な安定株だった東京電力は暴落し、安全神話原発はメルトダウンして、こっちは元々だったけれど、政府も信用できないということが、リアルな、肌感覚として、分かってしまった。

国家のインフラであり、私たちの生活を支えてくれている電気、の、供給者は、まったく信用ならず、その供給者の管理していなかった原発は、水や食の問題にまで発展した。

そしてはた、と気づく。「何であれば信用できるか」がまだ、分からないということに。自分自身を、騙し騙し「大丈夫だろう」と想定するしかない。

  • 不安と恐怖は、怒りを生む

そういう想定は不安だから、そういう想定はストレスがかかるから、「信用できない」に過剰反応しがちになる。自分を守ろうとすると、むしろ相手に攻撃的になる。

フジテレビが日本より韓国を推している、偏向報道をしている、などとして、そのスポンサーの花王商品が、Amazonレビューで叩かれた。花王の洗剤「アタック」には、200件もの低評価がつき、5000人もの人が「そのレビューが参考になった」をクリックした。

それどころか、テレビ局のスポンサー一覧と、窓口、主要製品名、競合他社名、過去の不祥事、提供番組名が複数人で共同で編集可能なGoogle Docs上で上げられ、1000人もの人が、リストを毎秒更新している。

確かにフジテレビの報道姿勢は「これが偏向報道の証拠だ」みたいなサイトを見てみると、いかがなものか、と思ったりはする。それにしても、怖いくらいの熱気だ、と思う。

  • 「信用」はどこにあるのか

「信用不安」時代に、人々は信用できないものに、過剰に防衛的になる。とはいえ、日々取得する情報、日々摂り入れる食べもの、を、何にするか、私たちは選ばなくてはならない。信用できないものを叩くだけではなく、信用できるものを探さなくてはならない。守るだけでは、拒絶だけでは、人は生きていけない。

それでは信用は、どこにあるのか。不安なときに人は、何を信用するのか。

それは「自分」ということがキーワードになってくるのではないか、と思う。つまり、自分の目と耳で見聴きし、体感したものを信用する。想いに触れ、時の流れを感じ、心を動かされた何かを信用する。

だから、友人や同僚、一緒に仕事をしてきたクライアントのうち「信用できる」と思った人を、引き続き信用する。

そして、その「信用できる他者」が直接見聞きし、体験し、信用したものを、信用する。

つまり「「顔の見える誰か」から見えている誰か」を信用する。

    • 信用は個人の中にある

人を介して、ヒトを信用する。人を介して、モノを信用する。だとすると究極「信用」は個人の中にあるのだと思う。

言葉にしてしまうと、当たり前のことなのだけれど「顔が見える」個人として信用されることが大切。

ソーシャルメディアでは「顔を見せる」――文字通りFacebook顔写真は元より、思考のかかれたBlog記事、思考の断片の見え隠れするツイート、そして、その個人を信用する他の個人によって、自分自身というものを開示することができる。

要するにそれは、判断するための情報の開示であるし、読み手・聴き手に「自分で信用できるかどうかを判断する」機会を差し出すようなものなのだと思う。

例えばBlogに記事を書いた時、Twitterにポストした時、Facebookに投稿した時、提示しているのは:

・どのような事実に反応する書き手なのか
・どのような感情でいる書き手なのか
・読み手と思考が似ているか、似ていないか
・誠実か?誠実ではなさそうか?
・文体から察せられる雰囲気
・誰と繋がっているのか/誰が評価しているのか

こういったものを提示しているのだと思う。

    • 個人の集合体としての、組織

それでは、組織も、信用が欲しいならば、クライアントに、顧客に、消費者に、判断材料を差し出すしかない。

それは、

一体どのような個人が働いているか、という事実であるし、
お客様とどう相対してきたか、という歴史であるし、
商品やサービスに込めた想いを、いかに伝えてきたかであるし、
他者に紹介したくなる感動を、お渡ししてきたかという実績であるし、
宣伝、記事、商品から透けて見える、本音の部分の覚悟と信念

であるのだろう、と思う。


良い事をしている会社、良いモノづくりをしている会社こそ「判断材料」を多く出してくれればいいな、と思う。

さくらVPS + ruby環境で自動化諸々の、備忘録/306014

7月14日にはじめてさくらVPSに登録して、LinuxとかSSHってものに触り始めて4日目の素人の悪戦苦闘な試行錯誤的、備忘録。

  • 概要
    • 目的

24時間365日動いているサーバーを使って、毎時/毎日/毎週/毎月自動的にrubyのプログラムを実行したい。
理想は、

1.Rubyプログラムが毎日指定時刻/指定時間おきに走る
2.一週間に1回または、一ヶ月に1回、上記のプログラムを走らせた結果をまとめる
3.まとめたログが、メールで飛んでくる

こういう状況を創りたい。

    • サーバーレンタル + ドメイン取得

さくらVPSとお名前.comで仮想サーバーとドメインを取得

    • 環境設定
      • ドメイン設定

お名前.comにて、さくらVPSを登録

      • Unixことはじめ
      • SSHによるログイン

Poderosaをインストール。ログイン。
認証鍵云々は、割愛

目的

24時間365日動いているサーバーを使って、毎時/毎日/毎週/毎月自動的にrubyのプログラムを実行したい。

理想は、

1.Rubyプログラムが毎日指定時刻/指定時間おきに走る
2.一週間に1回または、一ヶ月に1回、上記のプログラムを走らせた結果をまとめる
3.まとめたログが、メールで飛んでくる

こういう状況を創りたい。

400ページ近くの、サイトにお世話になりました。特にお世話になったものについては、後段でURLを貼るが、残り数百のサイトについては、把握しきれていないので、こちらでお礼を申し上げます。有難う御座いました。

サーバーレンタル + ドメイン取得

さくらVPSとお名前.comで仮想サーバーとドメインを取得

さくらVPS

VPSとは、Virtual Private Server(仮想専用サーバ)の略で、
root権限も持てる、擬似的な自分専用サーバのこと、のようです。

今回使ったさくらのVPSは月額980円で

memory 512MB
HDD 20GB
CPU Virtual 2 core
Network 100Mbps(share)
IPv4 Address ×1
OS CentOS 5 86_64

こんなのがついていました。
レンタルサーバーと違って、色んなソフトや高機能な管理画面が入っていないし、そういった機能へのサポートも無いが、代わりに自由にできる、というサービスの模様。

お名前.com

年間.comドメインが300円のセールをやっていたので、お名前.comでドメインを取得しました。

環境設定

ここから、順次環境を設定していきたい。

Linux/UNIXことはじめ

さくらのVPSでは、SSH(Secure SHell)と呼ばれるプログラムを使って、遠隔操作することで、サーバーをコントロールする事ができるようです。
Unixのコマンドリストはここ

SSHによるログイン

Windows上で動くSSHをサポートしているターミナルエミュレータPoderosaというのをインストールしました。

ホスト:49.212.***.***(さくらから割り当てられたIPアドレス)
プロトコル:SSH2
ポート:SSH(22)
アカウント・パスワード:初期はrootと、さくらで作られたPass
エンコーディング:shift-jis
改行の送信:LF

など設定し、ログイン。

ドメイン設定

お名前.comにてドメイン登録。
たまに、.comドメインが300円/年間のセールをやっている模様。


お名前.comにて、さくらVPSを登録。

ここに書いてある通り

お名前.comにログイン
[ドメイン設定 > ネームサーバーの設定 > レンタルDNSレコード設定] と進む
対象のドメインを選んで、[入力画面へ進む] をクリック。
サブドメインを使うなら、[ホスト名]に入力、使わないなら、何も入れない。サブドメインありなし両方にする場合は、それぞれを追加。
[VALUE]にIPアドレスを入力。その後、[確認画面へ進む] をクリック。次の画面で、[設定する] をクリック。
手続きが終わったら、[ドメイン設定 > ネームサーバーの設定 > ネームサーバーの情報変更] へ。
対象のドメインを選んで、[ネームサーバー情報を入力する] に、「01.dnsv.jp」と「02.dnsv.jp」を入力。確認画面 を経て、[設定する] で終了。

暫くたつと(〜数時間?)ドメインが浸透して、取ったドメインにアクセスすると、VPSサーバーに行けるようになるが、まだwwwサーバーをインストールしていないので、このままではアクセスできない。サーバーに諸々、プログラムをインストールする必要がある。

サーバーインストールの概要

yumというパッケージインストールシステムを起動するコマンドを使うと、楽チンに色んなソフトウェアがインストールできます。

yum install softwarename
yum update softwarename
yum remove softwarename
yum search searchkeywords

などがあるようです。

yum -y install xxxx

のようにすると、全ての問い合わせにYes(y)と答えるオプションのようです。

vim(エディタ)のインストール

SSHでログインした状態から

yum -y install vim-enhanced

vimと呼ばれるエディタをインストールし

alias vi='vim'

によって、aliasを関連付けします。
(viというコマンドでvimというエディタが起動するようにする)

rubyのインストール(apache, sqlを含む)
  • ruby本体のインストール

このへんこのへんを参考に、Rubyをインストールします。

sudo yum -y install zlib-devel
cd /usr/local/src
sudo wget ftp://ftp.ruby-lang.org/pub/ruby/1.8/ruby-1.8.7-p371.tar.gz
sudo tar zxvf ruby-1.8.7-p371.tar.gz
sudo rm -rf ruby-1.8.7-p371.tar.gz

cd ruby-1.8.7-p371
sudo ./configure
sudo make
sudo make test
make install
cd ext/zlib
sudo ruby extconf.rb --with-zlib-include=/usr/include --with-zlib-lib=/usr/lib
sudo make
make install

zlib-develがあると、tar.gz形式とか解凍できるようになるみたいです。
今回は、私のローカル環境に合わせて、Rubyの1.8.7をインストールしました。

  • gemのインストール

gemは、yumのRuby版だと理解しています。

gem install xxxx

で諸々パッケージをインストールできます。

wget http://production.cf.rubygems.org/rubygems/rubygems-1.3.7.tgz
tar xzf rubygems-1.3.7.tgz
cd rubygems-1.3.7
ruby setup.rb
gem update --system

sqliteというデータベースソフトをインストールします

cd /usr/local/src
wget http://www.sqlite.org/sqlite-amalgamation-3.7.2.tar.gz
tar xzf sqlite-3.7.2.tar.gz
cd sqlite-amalgamation-3.7.2
./configure
make
sudo make install
  • gemを使って、Railsをインストール
gem install rake
gem install rails
gem install sqlite3-ruby
  • passenger

Passengerは、Railsアプリケーションを実行するためのApacheモジュールだそうです。ApacheというのはWebサーバーソフトウェアで、これがあると、サーバーをウェブで公開できるようになるみたいです。

gem install passenger
passenger-install-apache2-module

ここなどを参考に対話的に

yum -y install openssl-devel readline-devel

など、Passengerのインストールの際に足りないと怒られるパッケージ諸々をinstallします。

上手くいくと、途中で

Please edit your Apache configuration file, and add these lines:

LoadModule passenger_module /usr/local/lib/ruby/gems/1.8/gems/passenger-3.0.7/ext/apache2/mod_passenger.so
PassengerRoot /usr/local/lib/ruby/gems/1.8/gems/passenger-3.0.7
PassengerRuby /usr/local/bin/ruby

こういうのが出てくるので、控えます。

Deploying a Ruby on Rails application: an example

Suppose you have a Rails application in /somewhere. Add a virtual host to your
Apache configuration file and set its DocumentRoot to /somewhere/public:

<VirtualHost *:80>
	ServerName www.yourhost.com
	DocumentRoot /somewhere/public    # <-- be sure to point to 'public'!
	<Directory /somewhere/public>
	AllowOverride all              # <-- relax Apache security settings
	Options -MultiViews            # <-- MultiViews must be turned off
	</Directory>
</VirtualHost>

こういうのも出てくるので、控えます。

vi /etc/httpd/conf/httpd.conf

で、控えを書き込みます。

/sbin/service httpd restart

httpdをリスタートします。

ftpdのインストール

FTPdの中でもVerySecureらしいvsftpdをインストールします。
これを入れて設定すると、FFFTPなどでアクセスできるようになるみたいです。
vsftpdはここここを参考に入れました。

yum -y install vsftpd

でインストールして、

vi /etc/vsftpd/vsftpd.conf

でコンフィグファイルを編集。
大体参考サイト通りにやると上手くいきました。

と、これで、

このへんこのへんも参考に、ユーザリスト等なども編集し、

cd /var/www
chown -R ユーザー名. フォルダ名

などしてやります。(アクセス権限を与えないと、FTPでファイルが見れても、Up/Downできません)

設定が完了したら、

/etc/init.d/vsftpd restart

FTPサーバーを再起動させます。

postfix+dovecotのインストール(メールサーバー)

ここを参考に参考ページ中間から↓の、postfixというメールサーバーをインストールします。
ここもかなり参考になりました。

ちなみに、

chkconfig xxxxx on

などすると、サーバー再起動時に、自動的にプログラムも立ち上がるようです。

crontabのインストール

crontabという、設定時間ごとに、自動でプログラムを起動できるものがあります。

yum install crontabs

でインストールし、

crontab -u root -e
などで設定を編集します。

sh(シェルスクリプト)について

SSHのコマンドをまとめて、-.shの形で書いたものを、シェルスクリプトと言います。
ただし拡張子無しでも機能するようですが、シェルスクリプトとわかりやすいように、shと書いておくようです。

sh ./xxxx.sh

のように書くと、スクリプトが実行されていきます。

crontab + sh

設定の編集方法はこちら


・改行コードがLFじゃないと、引数を上手くよみこまない。
・きちんとcd /絶対パス/ するか、/絶対パス指定/ するかしないと、フォルダを超えたアクセスが機能しない

などに苦労しました。

crontabにPATHを通すのも重要です。

crontabの設定ファイルの設定イメージは

#!/bin/sh
PATH=$PATH:/usr/local/bin:/bin:/usr/bin:usr/local/bin/ruby
MAILTO = root
#4日おきに、5時0分に実行ファイルに権限を付加
0 5 */4 * * chmod +x /var/www/html/xxxx/xxxx.sh
#その1分後に実行
1 5 */4 * * sh /var/www/html/xxxx/xxxx.sh

こういう感じです。

一方、shファイルの方は、rubyを利用するものが

#!/usr/local/bin/ruby
cd /var/www/html/xxxx/
ruby ./xxxxxx.rb ../in/xxxxxx.txt ../out/xxxxxx.csv 100

みたいなイメージ
shellだけのものが

#!/bin/sh
#this file is for twitter follower log
cd /var/www/html/xxxxxx/
#バックアップファイルをCopy
cp -p ./superlog.csv ./backup/superlog_`date +%Y%m%d`.csv
# mailを送信#1
uuencode /var/www/html/xxxxxx/superlog.csv `date +%Y%m%d`_superlog.csv | mail -s "mail title" mailaddress@mail.com
#ファイル削除
rm -f /var/www/html/xxxxxx/log.csv

こういったイメージです。

.htaccess

ここのサイトや、ここのサイトを参考に、上記の実行ファイルやログが載っているフォルダについて、アクセスにパスワードが必要なように設定しました。

デマの広め手に、なるのをやめよう

  • 善意のデマが、不安を煽る

地震発生直後から、阪神淡路大震災の際、神戸に住んでいたこともあり、そして、自衛隊の炊いてくれた温泉や、近くの仮設水源から水汲み・水運びをしたものとして、多大な関心を持って、Twitter始め、UST、各社メディア、海外メディア(状況の整理は海外メディアの方がされています)、政府・東電の公式発表等、強い関心と悲痛の中、見ておりました。

Twitterは、情報の速効性という意味では非常に有用なメディアなのですが、このTwitterや、メーリングリストで「善意で広められる、悪質なデマ」が蔓延しています。

例えば、ある人物が震災直後、震災の悲惨さが分かる前に

地震が起きた時、社内サーバールームにいたのだが、ラックが倒壊した。腹部を潰され、血が流れている。痛い、誰か助けてくれ。ドアが変形し、腕しか動かない、呼吸ができない。助けを呼ぶことができない + 住所

というデマを流しました。「善意の誰か」は数百名にものぼり、実際に警察・病院に連絡した人多数。本人が居ない、そのツイートに書かれた住所には、何台もの救急車が急行したそうです。

  • デマ一覧

こちらのURLにも詳しいですが
http://www.yukawanet.com/archives/3598689.html

・関東に夜中大きい地震がくる
・富山県内で13日大地震が発生する
・只今、近畿のプレートが小さくなっている模様。次は近畿に大きな地震が起きる可能性が非常に大きいので明日、明後日は注意してください。
阪神大震災の際ははじめの地震から三時間後に一番強い地震がきた
阪神大震災の際には女性暴行が増えた
コスモ石油の爆発による有害物質流出
福島原発「メルトダウン」まで秒読み
・前期の東大で合格した親戚が宮城で被災。入学に必要な書類の提出期限は14日。にも関わらず対応ナシらしい

などなど、多種多様なデマが、短期間で流れました。
私も阪神淡路大震災を体験し、そして現在も福島に、仙台に友人が居り、こういったデマの一つ一つに、心を痛めています。

  • 感情的な反論は、音も無く無視する


こういった、デマの警戒情報を流している人たちは、“善意でやっている”事が多いため、さらに問題があります。デマを指摘すると「デマという証拠はあるのですか」と開き直られ、修正が成されない、といったことがよくあります。

私もTwitterで「デマ一覧」「不要な不安を煽らないで下さい」というツイートを書いたところ、ホリエモンにRTされて以降、たくさんの人から賛同のメッセージを頂きましたが、中には「本質は注意喚起。注意を煽るのが悪いのか」「デマという証拠はあるのか」といった、信じがたい反論もありました。

こういった非常事態にこそ、

    • 偽情報で、現場の人々の不安を煽り、冷静に対処すれば対処できるはずだった事の精度を下げるということ。
    • 人々に不安と疑心暗鬼を募らせ、人々が連携して災害に対処するのではなく、人々を分断すること。

要するに、パニックを喚起するような情報の広め手になるのは、避けなくてはならないのですが。*1

ここで明確にしておきたいのですが(現時点で)証拠・確証のない情報がデマ です。

だから、結果的にデマ情報(根拠なく、そうなる、と騒いだ物)が本当になることはあります。それどころか、デマが現実を創りだすこともあります。
例えば

豊川信用金庫事件

など。

そしてポイントなのは、こうした現実を創ったデマは、後から見れば「正しかった」のですが、同時にそのデマが広まらなければ、悲惨な現実は起き得なかった、という事です。

また、デマではない証明 といったものは、ありません。
「デマではない証明」を要求するというのは、

あなたに街中でいきなり声をかけて
「あなた、犯罪者ですよね?」と聞き
「犯罪者ではないという証拠がありますか?」と畳み掛け
「その証拠がないなら、あなたは犯罪者では無いとはいいきれない」
「犯罪者の可能性があるので、みんなに警戒してもらわないといけないですから、Twitterで情報を流します。もしあなたが犯罪者で、万が一被害に合う人が居るといけないので」

このくらい、異常なことなのです。
「デマではないという証拠がない警戒情報」を流すのではなく
「証拠・ソース・発言者責任つきの情報」だけを流し
「出処の分からない情報」は、自分の所で止め、流した誰かに訂正するようメッセージを送りましょう。

110313 16:13追記

僕は、第一原発から30〜40Kmあたり(もう少し遠いかも)に住んでいますが、デマの横行で、避難所や給水所などが情報で混乱しています。

例えば、
「放射能に汚染された人が来るから、遠くに逃げろ」と、東京電力が言ってるとか、
今夜停電するとか

僕自身、今現在、南相馬に住む友人、火力発電所近くに住む釣り仲間、知り合いの漁師さんたちと、全く連絡が取れない状況です。

悲しいことになってしまいましたが、情報パニックでさらなる被害を増やさないためにも、遼遠さんやふろむださんのような、冷静に状況が判断できる方々、または、被害が大きくない地域の方々が正しい情報を流していただけることを、切に願います。

ネット回線も東北は不安定なので、Twitterなどで、周りの方々に、正確な情報だけを流すように伝えていただけると幸いです。

こういった、現地で実際にデマで混乱・困惑している方の声を、併記しておきます。

  • デマに騙されにくくなるには

こういったデマに踊らされないために、そして、広め手にならないために、どうすればよいのでしょうか。

    • 「助けて下さい」は“匿名の誰か”に言わない

「誰か助けて」というツイートも、よく観ます。しかし私は「影響力の武器」という本に書かれていた、心理学の実験を思い出してしまいます。

不特定多数を相手に「誰か助けて下さい」をやると、「自分以外の誰かが助けるだろう」と「ほぼ全員が」考えるため、結果として助からない可能性が高いのです。

だから、「誰か助けてください」は多分助からない。Twitterで助けを求めるなら【拡散希望】ではなく、現在アクティブで具体的なアクションがとれ、助ける力と意欲を持ってそうな人に直接@mentionするのが確度が高いと思われます。

もし、あなたの所に【拡散希望】のヘルプが来たら、ただRTするのではなく、消防、救急、チカラを持った誰かに、直接お願いをする。その方が助けたい誰かが、助かる確度が上がります。

拡散させて、効果がありそうなのはおそらく「情報を下さい」であって、「気をつけてください」ましてや「助けて下さい」ではない。そう思います。

    • 公式ソースを観に行く

「公式」=「真実」ではありません。ありませんが、出元の分からない情報よりは信ぴょう性が高い。

阪神大震災の際ははじめの地震から三時間後に一番強い地震がきた」という情報では、ウィキペディアを観さえすれば、

ウィキペディア 兵庫南部震災
最大余震 1995年 1月17日 5:50、M5.2、震度4

と書いてあります。余震の中で最大の揺れは、ウィキペディアによると、4分後です。

一方、文部科学省地震調査研究推進本部のレポートでは

文部科学省地震調査研究推進本部のレポート
最大余震は本震発生から約2時間たった17日午前7時38分、本震の震源から北東へ約40km離れた余震域の北東端に起きました。Mは5.4で、本震のMより1.8小さくなっています。

となっています。どちらにせよ、3時間後というのはデマですし、「3時間後に来ると思ったらこない。いつ来るのか分からない」という事に、無駄に精神的なリソースを使わせずにすみます。
(戦場の兵士にとって、「●●まで待機」は耐えられても「別命あるまで待機」というのが一番厳しいそうです。)

Twitterを被災地遠くからやる暇人に言われなくても、何度も揺れているので、現地の誰もが最低限の警戒を、既にしています。

ちなみに最大余震については

最大余震は多くの場合、内陸では本震から約3日以内に発生しています。海域ではこれより長く、約10日以内

ということです。

コスモ石油の件に関しましても、コスモ石油HPで明確に否定されています。一方、東京電力の「節電のお願い」に関しては、公式HP上で明確に述べられていますので、正しい情報です。

阪神淡路大震災の様子は「平成7年 警察白書」
を見ると、

「平成7年 警察白書」
犯罪の増加・治安の悪化に備え、通常の5倍の機動力で対応し、

被災地の犯罪情勢は、オートバイ盗、乗物盗が増加した一方、侵入等が激減し、全体としては例年に比較して平穏に推移した。

とあります。(「事件が頻発はデマです」という明言に対し「一件でもあった」かどうかで反論するといった論理的齟齬も良くみられました。「一件でもある/あったかもしれない」には、誰も反論・否定できません。)

Twitter上の非常事態では「何が言ってあるか」より「誰が言っているか」に注目するのもよいでしょう。

以下は私見ですが、こういったソースが有用であるように感じ、活用しています。

東大原子力系卒業生および有志協力チームから原子力まとめ
総務省消防庁
NHK_PR
NHK_科文
ホリエモンのTwitter
原発関連では、東京大学大学院理学系研究科教授の早野氏のTwitter

    • 自分が諦めることを考える

それでも、分からないことが幾つもあります。例えば、原発原発を推進したい側と、原発を廃止させたい側が居ます。そのため、推進派はトーンダウンするし、例えば廃止派からは、この危機に乗じて誇張された危機が煽られます。

こういった時は、一つは「身近な“大丈夫”と比較する」といった事が考えられます。今回検出された放射線1025マイクロシーベルト/時(1.025ミリシーベルト)だそうですが、例えば、レントゲンやCTと比べてみます。

CT検査では、頭部CTが30000〜70000マイクロシーベルト
腹部CTが30000〜50000マイクロシーベルト

だそうです。すなわち、30〜70時間浴び続けて、CT検査1回分の放射線量である事がわかります。

11/03/14 18:10追記

こういうことを知っておくと、

福島原発>計器メーター振り切れ、放射線計測不能
http://www.asyura2.com/11/genpatu7/msg/110.html

使用した計器は「BEIGER COUNTR DZX2(上限は1000マイクロシーベルト/時)」と「VICTOREEN 209-SI(上限は10ミリレントゲン/時以上)」及び「MYRate PRD-10/1(上限は9.9マイクロシーベルト/時))の3台。上限を超えているため、正しい値を確認することはできなかった。
 
原子力問題のスペシャリストでもある広河隆一さんによると、2月末のチェルノブイリ原発取材で、事故炉から200メートル付近で計測した値は4ミリレントゲン。事故炉から­4キロ離れた、プリピャチ市で計測した値は0,4ミリレントゲンで、いずれも今回の計測が上回っており、非常に高い水準にあるという。

上記記事のように何故か、*2、政府発表の1025マイクロシーベルトを浴びれば壊れる計器ばかり持って現地入りしたジャーナリストの方々に、無駄な危機を煽られずに済みます。


一方で、もう「良く分からない」事がたくさんあります。その時は、自分ができる行動から考えます。例えば、私は今、東京に居て、新幹線は動いているようです。福島原発の事を考えると
・新幹線で逃げる
・逃げない
のどちらかの選択肢しかありません。

僕はたぶん、公式発表で「逃げろ!」と言われない限り「いま、原発がヤバいらしい」「メルトダウン秒読みらしい」と言った情報では、動かない。逃げないだろうな、と思います。

逃げない事が決まっているなら、公式発表ではない何かに一喜一憂するのは、あまり意味が無いことなのではないか。そんな風に「ある種のあきらめ」を行う事で、精神が安定するように思います。

    • 諦めない善意が、デマを広める。

こういった災害時に、私たち一般人の出来ることは、驚くほど少ないのだと思います。今、自分の面倒を自分で見られない組織が現地にヘルプに行けば「被災者が増えるだけ」です。要するに、邪魔なだけです。

同様に、「具体的な宛先」や「公式の事実」に基づかない、注意喚起や、流言蜚語も、邪魔なだけなのだと思います。

我々にできるのは、

・「顔の見えない誰か」を諦めて、「顔の見えるあなた」を支援すること
・目の前の、あるいは現地で被災している、困っている友人に具体的な支援をすること(共感する、慰める、励ます、傍にいてあげる、代わりに情報を検索する、送ってあげる、片付けを手伝ってあげる、泊めてあげる、暖かい飲み物をあげる、充電させてあげる)
・具体的なサービスを創ることのできる、誰かを応援すること。
・バックグラウンドのきちんとした組織を通じて募金すること。
・長期戦である復興の間(我々にできるのは、むしろこっち)この震災を忘れず、宮城産・福島産のものを少しでも購入する。

そしてなにより
・無駄な流言蜚語を流さない
これだけではないでしょうか。
無駄に騒ぐことで事実は「CT検診1回以下の放射線量」なのに、“その地域は放射能に汚染されている”なんて流言が広まったら、どれだけ経済の復興にダメージを与えるか。そんなところにも、想像力を持てると良いのかな、と思います。

余談ですが、この辺も根本的な誤解・誤用があるので追記。

・放射線:極めて簡単に言うと、高速度の粒子。超ちっちゃい銃弾みたいなもの。超ちっちゃいので、ダメージは少ないが、たくさん受けると人体もヤバい。実態は高速のヘリウム、高速の電子、電磁波など。
・放射能:その粒子を発射する能力。もうちょっと正確に言うと、放射能をもつ物質というのは、不安定で崩壊する。その崩壊する時に放射線を放出する。
半減期:簡単に言うと、放射能を持った物質が半分の量になるのに必要な期間。崩壊しながら放射線を撃って、放射能を失う(別の放射性物質になる場合もある。不安定なので壊れて→安定な物質になるというのが基本。)
・放射性物質:放射能をもつ物質の総称。

また、価値ある具体的なサービスとは、こういうものです。


Google Crisis Response(消息情報などがまとまっています)
SAVE Japan(TwitterのHashtagsが一覧できます)
帰宅困難者のためのGoogle Map上受け入れ先まとめ
Google Earth + 被災地の衛星写真


こういったもの、応援できる、支援できる顔の見える友人を助け合いながら、できないことを、積極的に諦めて、できる身近な人たちへの貢献を頑張って、あとは、ストレッチや、身体をゆっくり動かし、伸ばすこと。深呼吸をすること。
そういう事もいいですね。

  • このことを一言でいうと、要するにきっとこう言うことなんだろう。

http://twitter.com/#!/hkubota1016/status/46560972474810368
緊急時に、何もしないことが最良でありうることを認め、
何もできないことを受け止め、
何かした気になることを戒め、
何かしないと不安なることと戦うことの別名を、祈ると呼ぶ。
僕は宗教者ではないけど、今回ほど祈ることの意味について考えたことはない。

*1:もっとも、自分がこの非常時に、やってはならない事をしたということを「認めたくはないがゆえに開き直る」ということは、人間によくありがちな事ですので、それ自体は、仕方がありません。

*2:1レントゲンは10ミリシーベルトとして換算

株式会社イキゴトを設立しました/273097

前回の記事「答えるに値する問いをつくる」
http://d.hatena.ne.jp/starbow/20100304
から、はや数カ月。

当初作ろうと思っていたサービスは、2つの「問い」へと集約され、
紆余曲折を経たのち、気がついたら会社になっていたのでした。

株式会社イキゴト といいます。

  • Present Thinking Companyでありたい

どんな、会社でありたいのか。
それは「プレゼント・シンキング」という考えかたに集約されます。

それは、贈りものをおくるように、社会に事業を届けたい、ということです。
たいせつな人に贈りものを贈るとき、わたしたちは、どんな風に考えるのでしょうか?

    • とらえる

たいせつな人への贈りものであれば、ただ記念日だから、とか、ただ貰ったからお返しに、とか、そういう贈りかたは、しないはずです。

贈りたい、と思うから贈る。
まずは、自分自身の感情を正しくとらえることが大切だと思います。

    • つくる

次に、何を贈るのか。それは、自分の贈りたいものを贈るのではなく、
相手の喜ぶものを、贈りたいと思うはずです。

だから、贈り先への臨場感が、大切だと思っています。
臨場感とは、「自分ごととしてとらえる」ということです。

「社会をなんとかしたい!」それもいいでしょう。
ですが、その「社会」って誰なんだろう。という「誰」に
臨場感が持てないとしたら、独りよがりな社会変革になってしまうと思います。

だから、自分がとらえられる範囲で、まずは「一人のために、つくる」ところから、私たちははじめたい。

    • さしだす

そうして、たいせつな人への、贈りものができたとしましょう。
その贈りもので、喜ぶのは、一人ではないかもしれません。

もっと多くの人の幸福を創り出せると思ったなら、
もっと多くの人の前に、さしだしてみます。

それを通じて、心と心がつながる事業をやっていきたい。

  • 事業によって心と心をつなぐ

全てのものは、心から出て、モノや、サービスや、情報や、コミュニケーションを介して、また心へと入っていくのではないでしょうか。

つまり例えば、
車をつくっている人は、車という物体を届けているだけではありません。
「こんな車を運転したら楽しいよね」というアイデアを、車という形をとって届けています。

わたしたちは、
「心から、事業を介して、そしてまた心へ」を、意図的にデザインしていきたいと思っています。

具体的な事業領域としては

まずは、社会的貢献(ソーシャル)とソーシャルメディア、
二つの「ソーシャル」の交叉する場所で、人々の想いと想いをつなぐ
仕事をしていこうと思っています。


・何か「良いこと」をしたいという個人と社会的企業NPO・組織団体等を
つなぐウェブ上でのコミュニティをつくるためのサービスをつくること

社会的企業NPO・組織団体等の試みを、ソーシャルメディアの活用支援を通じて、個々人とつながりを創ること

この2つのアプローチをベースに動いています。


どちらにせよ、「人々が自然な情動に従って生きる」こと。
自然な、より良くなればなあ、という気持ちに答えること。
例えば地球や社会に対して良いことをしたいという個人が、気軽に参加できて、楽しめて、思いを伝えられる場をつくること。

そういう事をやっていきたいと思っています。

  • 口だけではなく、哲学だけではなく、実装を大切に

実際に最近では
全国から集った「志民」が地域を良くしようとする
「ローカルサミット」という、3日間に渡る「サミット」を
お手伝いさせて頂きました。

第三回になるローカルサミットは、小田原で開催され、

田原市長・加藤憲一さんから、
マザーハウス副社長の山崎大祐さん、
ユナイテッドピープルの関根健次さんに
元三菱電機アメリカ会長の木内孝さん
元サンヨー会長の野中ともよさんなど、
11の分科会で80名を越す、登壇者の方々、300名を超える参加者の方々で
大盛況に終わりました。

また、企業との協働では、
日本の未来を考えた素晴らしい製品の数々を創って居り、それを日本の若者にもっと届けたい!という大企業様と、どのように心と心を繋ぐマーケティングが可能なのか、プロジェクトが走っています。


冷静に自分たちを眺めると「ヘンな会社」なので、
また、時間を見つけて、面白い記事を書いていきたいと思います。

ペンキを塗ったら壁が■■■■話とか、
オフィスに■■器が導入された話とか、
弊社iPadの上に、チオ■■ドリンクが山積みされていた話とか。

どうかよろしく、お願いいたします!

答えるに値する問いをつくる。/251372

現在、友人たちと新(ウェブ…になるのかな?)サービスのリリースを計画しています。それは、「僕が、イキイキと生きるには?」という聊か漠とした問いから、あるいは、「ちょっとしたミニワーク・ミニプロジェクトを支援するにはどうしたらいいんだろう」という問いから、生まれたものでした。

これまで、机上でディスカッションを何度となく重ね、エンジニアの仲間がエレガントなシステムを、デザイナーの仲間が明るくポップなデザインを行い、後は細部を詰めて、リリースするだけ、という所に至りました。

しかし、作ったサービスは、頭の中で思いついた時は上手くいきそうに思ったのですが、実際にモノが出来て、自分達で使ってみると、企画者の、発案者の、プログラマの、デザイナの、自分達ですら、「すぐ使わなくなる」事があきらかになりました。

そこで、描いていた理想を、取ろうとしていた手段を、もう一度問い直すべく、私たちは「人の声」に示唆を求め始めました。

「人が何かを【やれる】」とは、どういう事で、どういう時に可能なんだろう、という問いだけは胸に、人に興味を持って、12人のインタビュー協力者から、一人2時間以上も貰って、話を聞き続けました。興味と疑問に、率直に答えて貰いました。

今日のエントリは、その12人の人生から知恵を得たプロセスを、ご紹介したいと思います。以前 http://d.hatena.ne.jp/starbow/20090920/1253458969 で触れた、IDEOの手法を下敷きに、くらたまなぶの教えと、自分達の方法論を上乗せした。そんなプロセスです。

  • 前提確認・目的/流れの共有(30min)

プロジェクト全体の目的の中での、今回の会議の目的

宣言と応援によって、個人プロジェクトを支援するというコンセプトの元、作成したウェブサービスは、メンバーである我々自身にとっても、使いづらく、また、使わないものになってしまった。そこで、理想やコンセプトを取っ払い、ゼロベースで「顧客の声」を聞き、人というものを知ろうと、トータル12人の深いヒアリングを行った。
本会議では、このヒアリングで得られたデータを基に、声を聞いた他者を自分たちに「憑かせる」事を通じて、我々が取り組むべき使命を鮮やかに描き、サービスの核となるべきコンセプトを設定し、そこから、実現可能性と採算性を意識したサービス設計を行う。

と、

ゴール

各自が理想に感じる使命を発見し
意味あるサービスコンセプトを発明し
具体的なサービス設計が行えていること

を設定/共有し、
本日、どのような意図で、どのように会議を進めていくかを共有しました。

ちなみに、実際にかかった時間は以下の通り:

1. 前提確認・目的/流れの共有(30min)
2. 個々人が持つ情報の共有(200min)
3. 洞察と昼食休憩(100min)
4. テーマ出し(120min)
休憩(20min)
5. テーマの整理と構造化(90min)
休憩(20min)
6. コンセプト(90min)
休憩(20min)
7. コンセプトの説明と投票(40min)
休憩(20min)
8. 解決策のブレインストーミング(30min)

  • 個々人が持つ情報の共有(200min)

共有―Downloadと呼ばれるこのセクションでは、情報というよりも、インタビューに応えてくれた「人」についてのイメージを共有する、もっと言うならば、「自分の中に、インタビュイーをつくる」のが目的です。

今回は、インタビューのログを基に、インタビューをした人が、インタビュイーについて、どのような人で、どのような気持ちでどのような行動をとったか、という教えて貰った「ストーリー」を話し、聴き手がその人の事を「頭と心に入れ」ながら、ポストイットにその内容をメモする、というような形で進めました。

この時、「女子大3年生」「〜〜で優勝・MVP」と言った、事実レベル・属性レベルの記述は全く役に立たず、「事実+行動」「事実+気持ち」「行動+気持ち」といった、要素が組み合わさった記述が以降の洞察やテーマ決め、アイディア出しに有用でした。

例えば、
「応援してくれる人が居たから、頑張れた」「優勝したら、自分の事を認めてくれる人が増えて、嬉しかった」「学内の新聞に載ったけれど、それだけでは満たされなかった」「むしろ子供と触れ合い認められる方が、受け入れられている気がした」
といった記述形式が、後の示唆出しに役立ちました。

予想外に、あるいは予想以上に時間がかかってしまったのがここですが、よく考えれば、インタビューログだけで40000文字もあるログを、そう簡単にシェアできるわけがなかったですね。

  • 洞察と昼食休憩(100min)

洞察―Insightと呼ばれるこのセクションでは、前述のポストイットを基に「洞察=新規性・驚きのある事実の仮説」を出していきます。今回はまずは、インタビュイー12人を、一人づつの中で洞察を出していきました。

この時重要なのは、それが「仮【説】」であるという事です。「家庭環境」「達成欲がある」といった書き方、いわばラベルを貼るような書き方では不十分(「説」でない)で、「自分に似たマイナス部分を持つ人に惹かれる(のでは?)」「決断に際し、外部の価値観を重要視している(のでは?)」というレベル感での「洞察」を出していきます。

出し終わったら一度、各人が出した洞察の発表と説明を参加者全員に行い、どのような洞察がここまでで出たのか、情報を共有します。

  • テーマ出し(120min)

次に、先程の洞察をより一般化した、「テーマ」を出します。今回は、インタビュイー12人の複数人に跨って出せるテーマを出していきました。これも、仮「説」になります。

例えば、「何かが「ない」から頑張れるという事があるのではないか=愛や評価を取り戻すために頑張るのでは?」「人に与えたい、他人の夢を支援したいという気持ちがある(のでは?)」「セーフティネットがあるから、チャレンジできる」といったものです。現実には、前段階での「洞察」と同時に行っても問題はありません(特に、複数人を直接インタビューした人は、始めから複数人の繋がりが見えていたりしますよね)。

  • テーマの整理と構造化(90min)

ここで、多くのテーマが出たので、出たテーマをPost-itに書きうつし、テーマだけを眺めながら構造化・整理を行いました。

人の行動には、自分の内から出るもの、外部からの要求に応えるもの、それらが重なるもの、といった、より大きなフレームを設定して、出てきたテーマを整理する事ができました。

ちなみに、この辺りで疲れも限界に達し、また、テーマが抽象的すぎて(ここと前段階が元々、このプロセスで一番抽象的になる所です)、纏まるのか?という不安がメンバーの頭を巡り、もうちょっと心が弱ければここでお開き・解散にしていました(笑)


  • コンセプト(90min)

ここでは、これまで挙げた、洞察とテーマに対し「機会領域」を探ります。いくら哲学的にあるいはマーケティング的に素晴らしい洞察を出しても、それが実現可能なものでなければ意味がありません。そこで「いかにして我々は、〜〜〜をするか」という問いを、ここで幾つも立てる事を目標とします。

出てきて、整理されたテーマを見返しながら「いかにして我々は〜(How Might We...)」という問いを、幾つも作っていきました。例えば、「外部のノイズ・社会の要求や流れについ載ってしまう」というテーマと、その下に貼られた洞察、そしてそれを裏付ける事実を眺めながら「いかにして外部の価値観を明確にするか?」という問いを立てました。

  • コンセプトの説明と投票(40min)

これらを各人が出して、ポストイットに書いて貼った後、各人が自分の出した問いの背景を説明します。例えば「いかにして外部の価値観を明確にするか?」という問いであれば、

「外部の要求、価値観、見栄、レール、期待に沿って、つい動いてしまう人は多い。しかし、そう動く人は必ずしも外部の価値観を適切に理解しているとは限らない。例えばサークルで「凄い先輩」みたいに後輩に祭り上げられてしまった人が、『先輩なら凄い所に就職できそうですよね!楽しみです!!』みたいな声に押されて、世間的に『もの凄い』所に行けなければ、本当はちょっと行きたいと思っていた『世間的には凄くない』会社に行くパスを自ら閉じ、極端に走る―例えば「行きたいと思っていないのに」起業やベンチャー―事があり得るのではないか(自分が本当に行きたいと思ってベンチャーや起業を選ぶというのとは違う、いわば消極的な起業/ベンチャー)。しかしその時、例えば後輩はそんな事を期待していただろうか。後輩の言う「凄い」は、先輩にとって明確だっただろうか。いわば「読み合い」のような所があって、答えなくても良かった期待に、答えていて不幸になると言う事があるのではないか。」

という背景を持つ「問い」であるわけです。
出てきた数十の問いに対し、一つづつ説明を加え、背景を共有します。

そのうえで、今回は投票という形で、一人一問5点づつ持って、「今日考えたい問い」を選びました。

  • 解決策のブレインストーミング(30min)

今回選ばれた問いは二つ。

    • 「いかにして与えたいものを与えられる環境をつくるか」
    • 「いかにして外部の要求に対して、自己の魂を載せる事ができるか」

これらについて、15分づつ、ブレインストーミングを行いました。
前者からはさらに、「体験が体験を創る」=「何かがある事で、素敵な体験をした誰かが、その何かを伝える事で、別の誰かにも素敵な体験をして貰いたい」という事が「与えたい」動機ではないか。という仮説が。

後者からはさらに、「外部の要求というのは手段/現象レベルのもので、それは往々にしてつまらない。魂を載せられない。」「しかし、目的レベルまで戻れば、誰もが同意できる何かがある事が多いのではないか。」「そのレベルにまで戻った上で、その目的達成のために動く事ができれば仕事に魂を載せうるのではないか」という仮説、また、魂が載っているというのは、「必ずしも信じ切っている事ではなく、一度疑った(=目的レベルに戻った・目的を問い直した)自信があるものではないか」という仮説を出す事ができました。

サービス等の詳細については、リリースを以て、お知らせしたいと思います★