モデル化の前提条件/179645

卒論の,訂正稿を書いている.締め切りが近い.
ここのところ,既に書いた"モデル"をより良いものにしようと試行錯誤をしている.

科学の方法には,2種類ある.解析的方法と,統計的方法だ.僕が相手にしているのは,前者の解析的方法で,これには,モデル化というものが必要だ.

モデル化というのは,単純化の事だ.無視できるような関係性を,きちんとした定義や閾値の元に無視を行い,その本質を抽出する.例えば,力学に置いて3体(以上の)問題は,初期条件に敏感に反応するカオスな結果になる事が知られているが,太陽からの影響が格段に強い.従って,その他の惑星間の影響は無視してよい,などの仮定とモデル化を行う事で,天文学は大いなる勝利を納めた.

モデル化には,その「太陽からの影響が格段に強い」といような前提条件.いわば,単純化のための根拠がある.(逆もまた真:つまり,とにかく単純化した結果がうまく現実に合うので,なぜそうなるか根拠を探しに行くこともある.)


僕がいま相手にしているモデルは

  • より滑らかに:滑らかでノイズに強いけど不正確な近似
  • より正確に:正確に近似できるけど、ノイズに弱い

というトレードオフがあって,

その、滑らかさと正確さを"最適化"する必要がある.

まずは,実際のデータで色々と値を変えて試してみて,「思考-試行」する.
実際のデータでどうなるか,という傾向を掴んだら,一般的な最適条件を求めたくなる.

最適化の為には色々な方法があるけれど,ある時は机上の空論だけじゃどうしようもなくて,限定条件下・理想条件下での最適解を実際に色々試してみて,コンピュータの計算力でもって,エイヤッ!と,最適値らしきものを計算する.

この時,実物をずっと見ていて,予想できなかった事が起こったりする.よく考えれば,理想化において,モデルの前提条件が覆っていたりする(例えば,ノイズの無い綺麗なデータを元に,試行した).それを入れ込めば,当たり前にそうなる事でも,前提の差異に気付かずに,悩んでしまったりする.それは,実際のデータに慣れすぎていて,"大切な誤差"が捨象されている.そこの所にすぐ気付けない事があるからだ.


というのも,前提というのは,往々にして隠れがちだからだ.
前提をくどくどと説明するのは,非常に骨が折れる.
そして,モデル化・理想化して物事を考えるときに,ときに前提が捨象されている,ということに気付かない事がある.
そして,前提をむしろ,積極的に変える事で新しい知識が創造できるように思った.


たとえば,
人の感覚的なもの、定性的なものを
あえて定義してみる.
幅を持たせて数値化してみる.

ノイズを積極的に消した綺麗なデータを用い,実物との差を測る.
常識的なものではなく,異常値に注目する.