[読書]『正しく決める力』/176281
三谷宏治さんの
『正しく決める力』
を読んだ。

タイトル通り「正しく決める力」を身につける本。
進路、就職活動、転職。
人生のあらゆるところで「決断」は迫ってくる。待ってなんかくれない。

何かを決断するか、何も決断しないという決断をするか―。




 この本は、入口が広く、高校生くらいでも読めて、
しかし、社会人になるまでに是非とも身につけておきたい「決断するスキル」について書いてある。


一見、この本は当たり前の事が書いてある。
知識としては、ちょっとそういう方面の本を読んでいたら知っていそうな事が書いてある。

例えば、
「劣後順位をつけよ」
これは、ドラッカーも『プロフェッショナルの条件』などの中で言っている。

しかし、この本の価値はそこではない。
「劣後順位をつける」という知識があるかないかではない。

【その知識を、きちんと身につけていますか?】
ということ、
そして、
【身につけるべきは、この知識なんですよ】
という事が、この本の真骨頂である。

以下、本書より。

スキルは、同じことを繰り返して、失敗して、成功して、はじめて身に付くものだ。

(p3)

練習より学習の方が簡単だから、学んだ技をちゃんと練習もせずに(もしくはちょっとやっただけで)次の新しい技の学習に走ってしまう。それでは技が、身に付くわけもない。本も、そういった移り気な読者を、新しい学習に誘う。

(p8)

そうして、「正しく決める力」を身につけるために、磨くべきスキル・技は以下の3つだと言う。

・重要思考
・Q&A力
・喜捨法

の3つ。

以下、エッセンス

◆重要思考
・大事な事を「重さ」で決める
・大事なことを一つ決めたら、「大戦略」「効用」「手段」の3段階で考える
・ノーマルシーバイアス/トレードオフ/クロス分析

◆Q&A力―逃げないこと。
・<傾聴>聞くこと/<質疑>大事なこと/<応答>問われた事から逃げない
・大事なことから聞く
・論理理解力をあげる
  想像力を上げる:読書と会話と妄想
・プロセスに遡っての指導法
 誤答・誤問の「プロセス差」を返す
・5つの会議ルール
  文章を簡潔に/質問前に3分思考/勝手に話させない・ズラさせない/賛否を示させコメントを許さない/意思決定者を一人決める

◆喜捨法
・ルールなどで強制的に捨てる
  自分ルール/SATC/基準法
・楽しくして自発的に捨てる

 捨てる:劣後順位をつけ、止める

◆チームとして
・組織としてのコンテンツを持て(理念、思考法、分析法)

以下、この本自体を「重要思考」に則ってまとめてみた。買って、読んだ人が実践のお供に使えるはず。


繰り返し。
この表にまとめられた「知識」だけでは意味がない。
「正しく決める力」はきっと身に付かない。

読んで、実践する。
上の表は、もしかしたら実践のお役に立つかもしれない。

「スキル化」の為の「繰り返し練習」が大切なのは、
この日記の読者の皆さんが、最初は酷い出来だった僕の
「図解」が少しづつは進化しているのが一つの傍証になるかもしれません。
少数の技を、使い続ける。

よくあるビジネス書のようでいて、著者の方の本気が見える良本です。
読みやすさと、内容の深さを掛け算したら、
今年読んだ本の中で一番大きいと思う。


ところで、本書冒頭でサラっと
相当考え抜かれたであろう知識が書かれてあったので勝手に図化しましたw


この本は、「正しく決める力」すなわち、決断力についての本ですが、
著者が想定する「これからの世を生き抜くのに大切な力」は2つ。
この「決断力」と「発想力」

発想力については、既に3冊も本が出ています。

そういうわけで、
◆併せて読みたい:
観想力 空気はなぜ透明か

トップコンサルタントがPTA会長をやってみた発想力の共育法

突破するアイデア力 〜脱常識の発想トレーニング〜

追記
内田洋平さんのレビューのマトリクスも面白いです。