誰が世界を変えるのか/173732

誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる
GETTING TO MAYBE - How the world is changed.

読了。涙無しには読めない。
「誰が世界を変えるのか」という邦訳よりも、原題の「How the world is changed」の方がよりこの本の実情に合っている。決して、誰か特定の世界を変える「人」や、その人固有の高い能力、強い意志、リーダーシップに焦点を当てた本ではないからだ。

それよりも、そういった意志ある人々の周囲の仲間、組織、歴史の潮流。そのような関係性に焦点を当て、「世界の変え方」を論じた本。

  • 世界を変える?

関連するキーワードとしては、「ソーシャル・イノベーション(Social Innovation)」「社会起業家(Social Entrepreneur)」などが挙げられる。
社会の様々な問題を、単に問題だと叫ぶのでもなく、問題の原因を悪と壟断し糾弾するのでもなく、対症療法的でなく、「根本的な問題解決」や「持続可能な」を目指したもの、と言えるだろうか。
マイクロクレジットを興したグラミン銀行。単なる職業訓練所ではなく、単なる自立支援でもなく、障害者の4つの幸福:家族と友人・経済的保証、安らぎの場としてのホーム、希望や選択を尊重して貰える能力;を目指したPLAN(Planned Lifetime Advocacy Network)。
日本では、以前id:fuku33先生に教えて頂いた日本理化学工業株式会社 http://www.rikagaku.co.jp/syougai/syougai.htm なんかがその思想に近いのかもしれない。

  • 複雑系

世界を単純(simple)でも、煩雑(complicated,込み入った)でもなく、複雑(complex)なものだと捉える所から、世界を変える第一歩は始まる。
複雑系―Complex System―は、成功を保証する法則は無く、厳密な計画は役に立たない。そして、全体から部分を分離できない。
そこにあるのは、関係性、あるいは相互作用。
従って、結果を予測できなくとも、より変化につながりそうなインタラクションを生み出す事が求められ、物事の展開に合わせた行動が求められる。

  • 「かもしれない」をめざす

この複雑な世界の中で、何かを変えようと思うなら、何よりできる「かもしれない」という信念を持つことが不可欠だ。
「世界は機械のようにコントロールすることはできないが、だからといって私たちは無力ではない。」
複雑系な世界の中では、小さな行動が大きな変化をもたらす事がある。失敗してもその中に学びがある。それは前進の為に応用できる。

  • 出発点はここに

世界を変えてきた社会起業家たちは、信念を持った上で、どう行動したのだろう?

社会起業家はこういったプロセスを辿るという。


◆併せて読みたい



◆参考リンク
日本理化学工業社製:キットパス