五感マーケティング

という本を読んだ。

Web2.0時代的なマーケティングを説く本なのだが、著者の高橋朗氏の経歴が面白い。
なんと「有限会社 無敵ブランド」の「代表取締役先生」だという。
無敵ブランドて。取締役先生て。

さて、エッセンスとしては以下のような感じか。

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インターネットのおかげで中小企業でも大企業に対抗しうるマーケティングが行える可能性が広がった。
「五感」を刺激するマーケティングが正解。
「五感」を刺激するには「物語」が有効。
Web空間に出てくる“表現者”は、自分の「感性」を表現したい。
「物語」はメッセージ/コンセプトを伝えるためにあるもの。
コンセプトにはパーソナリティが必要。メッセージには伝える相手が必要。
その商品を使うとどのような[実利的/気分的]利益が得られるか=メッセージ
実利的利益の差別化が難しい現在、気分的(=心理面での)利益が重要。
五感
 視覚:パッケージデザインの重要性
 聴覚:サウンド・ロゴは強力
 触覚:ウェブやTVCMでは無理。パンフレットなどで。
 嗅覚:車などでは「新車の匂い」をわざわざつけて販売している。
 味覚:食品や飲料にしか関係ない。
モノとコト:データ(機能面)だけでなく、自分のライフスタイル、価値観に合っているかが重要。感覚的。
二極化:こだわりの無い商品は安くて実用的であればいい。こだわりの有る商品は高くても「良い」モノ・コトである事が望ましい。中間層の衰退。
「世界観」を客に伝えよ。買ってくれた上に、インフルエンサー(広める人)になってくれる。
メッセージのない流通には意味が無い。
アンケートをとって、その結果に全て合わせるのは愚の骨頂。(八方美人的)
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 読後の感想としては、割と「軽い」本で、サクサク読めた。合間合間に「埴輪会社(笑)」のマーケティング的エピソードが挟まっているのも面白い。味覚と嗅覚は兎も角、本の表紙がイボイボになっていて「触覚」も考えている点は、さすがに自分の言うことをきちんと実行しているなあ、という感じ。
 残念な点は、その「埴輪会社物語」で、自分の論を「埴輪会社ゆえの苦悩」で、やや相殺している所か。せっかく本書で言うようなコトをやっても、埴輪会社ゆえに成果がでないというか(もちろん最後には上手くいくのだが)。