昨日「人は見た目が9割」という本を読み終えました。 ISBN:4106101378 論旨も論理も通っていて、良い本だった。読みやすいし分かりやすい。

ただ、一つだけ気になる所があります。本書では「メラビアンの法則」というものが紹介されていました。

メラビアンの法則とは ―

相手方に与える印象の度合(比率)は
「話の内容」が7%
「話し方」が38%
「ボディーランゲージ」が55%の割合である。

というものです。

38+55=93%がノンバーバル(非言語)コミュニケーションなのですよ。と本書は説く。おそらく、この本の題名である「人は見た目が9割」も、この93%という数値から来ているのでしょう。しかし、このメラビアンの法則というのは嘘なのです。就職活動などのセミナーでこの法則が語られる事が多く、そうしていろんな人に信仰されてきたのでしょうが、このような法則はありません。

 例えば、「明日10時新宿東口待ち合わせ」というのを「非言語コミュニケーション」でやってみてほしい。身振り手振りで伝えるのだ。・・・カタコトで「アシタジュウジ・・・」と言ったほうが100万倍分かりやすいことは明白でしょう。

 このような例を持ち出すまでも無く、メラビアン博士自身がその法則が「コミュニケーションに於ける一般則ではない」事を言ってます。実験の方法を見てもそれは明らかです。

「たぶん(Maybe)」の一語を、さまざまな声質で録音し、それを被験者に聞かせてどのような印象を受けたかを調べる。」

伝聞した事実を、自らがまた著書という形で発信する時はきちんと検証をしないと、本のタイトルにしてしまったり、誤りをさらに流布させたり、と、恥ずかしいことになってしまうんですね。

 それを差し引いても、演劇をやっている身としては、著者の演出家としての、役者や漫画を例にとった文章がわかりやすく、なるほどこれは使えそうだ、と思うものがあり、良かったと思います。

「記憶力 発想力が驚くほど高まるマインドマップノート術 」という本でもメラビアンの法則は紹介されていました。少し残念です。