慶應と帝京大で教えた「本当はやりたかったこと」にチャレンジするための秘訣

「難しいかもしれないけれど、できたら凄いこと」に挑戦して、
同じ場所に居たはずなのに、気がついたら、
ずいぶんと人生が前に進んでいるヒトがいます。

 

一方で「もし失敗したら」「うまくいかないかも」と
頭の中で、おなじことをぐるぐると悩んでしまって、
挑戦する勇気が湧いてこない、そんな人も居ます。

何が、その二人を分けるのか?

 

このことについて、日本滞在の10日間で、
5回の講演・講座を行ってきました。最近上梓した本の内容をベースにしています。

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(こちらは、タイガーモブさんのタイガーポーズです。笑)

すべて楽しくやらせて頂き、通底するテーマは 

前に進むための絶望
・ヒトの悩みは、言葉がつくる

です。

 

多くの参加者から、様々なコメント・フィードバックを頂きました。

「人生はデザインできると思った。変えられるものに集中します。」

「私は正しいか否か、そればかり考えて苦悩し続けてきたが、
 正しいか否かはどうでもよくて、長期的に見て
 夢や幸せに役立つかが大切である。と思えました。」

「単位が足りなくて留年、という、現実を見たくなくて、
 メチャクチャな生活をしてごまかしていた。
 恐ろしい嫌な現実、人生のレールからちょっと外れてしまった
 今を ありのままに受け入れることは、今の自分に最も必要。
 今知れてよかった」

「自分という人間の、行動の源を見れました」

 

今回の記事では、中でも特に、福澤文明塾会にお呼びいただき、
タイガーモブ社の菊地 恵理子代表と、慶應義塾大学で行った講演および、

帝京大学で行った授業を中心に、まとめを書きたいと思います。

 

 

前に進むための絶望 

やっていることがうまくいかない時、
多くのひとは「やっていることを変える」のではなく
「うまくいかないことを、もっと頑張ろう」とします。

 

結果、どういうことが起きるかというと、
うまくいかないことを頑張るわけですから
当然、「もっと、うまくいかない」

 

実際には、うまくいかないけれども、多くの人が
「もっと頑張ってやってしまおう」とすることの
代表例として、


「失敗や、怪我することや、苦痛を人生からなくそうとする」こと

 

が挙げられます。

 

もう少し深く、見ていきましょう。

 

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と考えることが、大切です。

 

どういうことでしょうか?

 

人生では、いろいろな苦痛があります。

 

歩いているだけで、躓くかもしれない。
挑戦すれば、失敗するかもしれない。
家でじっとしていても、ときには、病気になることだってある。
そして、すべての人が避け得ない運命として、最期には死にます。

 

人生から、あまりに苦痛を取り除こう、取り除こうとするとき、
苦痛をコントロールしようとするとき、それは問題となります。

 

言うなれば「苦痛をとりのぞくために」生きているようなとき、それは問題となり、
「苦痛」に、あなたの人生をコントロールする力を与える
ことになります。

 

「苦痛をとりのぞくために」生きている。とは、例えばこういうことです。

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確かに、練習をしなければ怪我をする確率は低いでしょう。
けれども、サッカー選手になる夢が叶うことも、ありません。

 

怪我をするかもしれない。それは避けられない。
 けれども、オレはサッカーで生きていく。

 

こんな覚悟が、人生には必要です。

 

そして、私たちは、つい。
「怪我をしないために、サッカーの練習をしない」人生を選びがちです。
私も含めて、チャレンジし続けた人生でないのであれば、
この「練習しないけど、夢はサッカー選手」の子供を、
決して笑うことはできないのです。

 

そして、意外にも「ただやってみれば、叶う」そんなチャレンジも多いのです。

このことを、菊地さんはこんな風に言っていました。 

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例えば、自分に力がなくても、
適切な誰かに何かを「お願いしてみる」ことができます

 

もちろん、お願いを叶えてくれるかどうかは、相手が決めることです。
叶うかも知れないし、断られるかもしれない。

けれども「お願いをしてみる」という行動に必要な
「能力」は、ほとんどの人に備わっているはずです。

 

そこに行って、声を出せるなら、
相手の連絡先を調べることができて、テキストを打ち込めるなら、
ただ、電話をかけることができるなら、

「お願い」をしてみることができます。


ここぞ、という勝負どころのタイミングで、ただ、お願いをする、という
行動(スキルは不要!)が取れるかどうかで、
人生が大きく好転することだってあります。

 

 前に進めないひとは、
「勇気がないから」
「自信がないから」
「断られるかもしれないから」
「どう思われるか不安だから」
「もっと準備が必要だから」
「お願いする資格が必要だから」


と、行動しない理由を考える、という作戦をとります。

 

特に真面目な人こそ、
準備をしたり、勉強をしたりして、
チャレンジを後回しにします。

 

ここで必要なのは、
そういった準備や勉強や、理由を考えることが
「役に立っていない」と心底、絶望することです。

 

さきほどのサッカー選手になりたい子の例でいくと
「怪我しないために、練習を避けることは、
 なりたい夢に近づく役にたっていない」と
心底、絶望することです。

 

これは、夢の話しや挑戦の話しばかりではありません。

 

部下がミスしたとき「怒る」という手段に出る人が居ます。
そして、怒ってもまた、ミスが起きるとき「もっと激しく怒る」
という作戦に出ます。

目的に対して、役に立っているか?を問う必要があります。

 

このような上司、あるいはチームで起こりがちなのは、
ミスが減るのではなく、
「ミスがレポートされなくなる」「ミスが隠される」ことです。

 

同じミスを組織的に、仕組みとして、対応することができないので、
減らしたかったミスは、長期的には増えていくのです。
そしてある日、リカバーがきかないほどに。

 

あなたの「作戦」が役に立たないとき、
それが役に立たないのだと、心底、絶望することで前に進めます。

それを「創造的絶望」と言います。

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ヒトの悩みは、言葉がつくる

続いて、ヒトをヒトたらしめる、スーパーパワー
「言葉」の話をしたいと思います。

 

先程までは「苦痛は避けられない」という話をしていました。

 

ここからはまず、
「苦痛」と「苦悩」はちがう、というお話からしたいと思います。

 

わかりやすくいうと、苦痛とはこれです。

手を、つねられると、痛いです。これが苦痛です。

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これは、刺激あるいは「痛み」が、「いま・ここ」にある状態です。

 

苦悩というのは、
いま、目の前に部長がいるわけではないのに
「月曜日出社して、部長に怒られたら嫌だなあ」と頭の中で考えること、

つまり、

刺激や苦痛は、「いま・ここ」に無いのに不快
という状態が、苦悩(あるいは悩み)です。

 

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この悩みは「言葉」によって生まれます。

 

この図が、わかりやすいかもしれません。

 

犬は、「いま・ここ」に居て、
というか本来、生物は「いま」「ここ」に居て、そして
「わたし」であることしかできないのですが、


人間の思考だけが、「いま・ここ」を離れて、
どこか未来や過去や、苦悩について思いを巡らせることができてしまいます。

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ヒトが、言葉を使って、未来の計画をたてる知能を持ったことは、
ヒトが、未来を不安に思えるようになった、という、諸刃の剣となりました。

 

「言葉」はよく切れるナイフです。

 

良い使い方をすると、いまあなたがしているように、
Blog記事をみつけて、新しい情報・知識を手に入れたり、
その記事について、賛成したり、反対したり、することができます。

良い使い方をすると、小説を読んで
魔法の世界を楽しむことができます。

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胸がドキドキして、涙がでるくらい、感動することだってあるでしょう。

 

けれども、悪い使い方、たとえば
「私なんて、誰にも愛されない」とか
「僕には才能がないから、やっても無駄だ」とか
「自分には、とても無理だよ」とか

そういった言葉が、ただ頭の中で流れるだけで
「よくできた小説がリアルに感じられるように、
 その言葉がリアルに感じられる」のです。

 

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講演会では、例えばこんな話をしました。

 

飛び込み営業、できますか?

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もちろん「できる」という営業マンの方もいらっしゃるでしょう。
「できない」と思う人の気持ちになって、考えてみてください。

 

「できない」と思う人の頭の中では
「できない」「無理」「そんな勇気ない」なんて言葉が流れます。

 

そして、それはそれは、リアルに感じられるものです。
「私には、とてもじゃないけど、そんなことはできない!」と。

 

けれども、多くの方は、「それができる能力」はあります。
それができる能力とは、


「歩いてマンションに行く能力」
「ボタンを指で押す能力」
「日本語(あるいは現地の言葉)を話す能力」

があれば、できるかどうかでいうと、できます

 

結果が出るかどうかは別として、「やる」能力はあるはずなのです。

 

けれども、頭の中で「できない」という言葉が流れるとき、
それはリアルに感じられます。

 

正確には「できない」「無理」ではなく
「やりたくない」とか「やる意味を感じない」とかが
正しい表現なのに、

 

自分を、実際よりも能力を低く見積もってしまうのです。

これが、言葉のちからのダークサイドです。

 

こんなふうに「言葉の呪い」 を解呪して、
チャレンジする方法について、お話をさせていただきました。 

 

 

ところで「お願いすること」は、スキルが不要でできる
という話をさせて頂いておりました。

 

「そう書いてるあなたは、それ、ちゃんとやってるの?」なんて
お感じになる方もいらっしゃるかもしれません。

 

そこで、私からあなたへのお願いです。
こちら、この記事で紹介した内容を、一年にわたって魂を込めて
書いた書籍
です。

ぜひ、お手にとってみてください。

 

(6月12日現在、Amazonのストレスカテゴリ 1位・

和書全体の売れ筋ランキングでなんと12位です!

いま、いちばん売れてるストレスカテゴリの本です!!)

 

世に問う価値があると信じる、最先端の精神医学「ACT(アクト)」に基づく考え方と、
です。

今回の記事でカバーした内容に加えて


・実際に、取り組むことで前に進めるワークシート
・「ゆううつループ」から抜けて「成長ループ」に入る方法
・頭の中のネガティブな言葉を追い出すために、3秒でできる具体的方法
・言葉のルールから、自由になるには?
について書いています。

 

ひとつだけ、補足したいのは、この本もこの記事も、
「ポジティブシンキングのススメ」ではない。ということです。

 

やみくもに「ポジティブに考える」というのは、こういうことです。

 

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これは、ポジティブに考えているようで
「怒り」という感情に、ただフタをしていることです。

 

私がしたいことは「言葉をポジティブに貼り替える」ことではなく、
悩みをつくりうる「言葉の世界全体」から、距離を取ることです。

 

もしも、興味をもってくださったなら、Amazonでのご購入はこちらから。
(ワークシートは、読者プレゼントとして、印刷用のpdfを
お渡ししていますので、どちらかというと、リアル書籍版がおすすめです)

 

ありがとうございます。

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