「自信」も「自己肯定感」も存在しない。追うべきは具体的な行動
最近、プレゼンをする機会に恵まれています。
しかも、英語だったり、100人くらいの前だったり。
だから、参加者や、友達や、知り合いから、こんなことを聴かれます。
「どうしたら、そんなふうに、自信をもってプレゼンできますか?」とか
「人前に立った時、緊張しない方法が知りたいです」とか
「準備してる段階で、もう不安になるんです。なんとかなりませんか」とか。
この記事では、そんな課題を抱えているひとに、
具体的な解決策を提示します。
それから、最近書いた本の宣伝を、します。笑。
はじめに、こんな場面を想像してみてください。
「ぼくは、自信があります。」って言っているひとに
「あなたの自信を、いま、ここで、わたしに見せてください」
とお願いしたら、そのひとは何を見せてくれるでしょうか?
あるいは、
「このひと、自信をもってプレゼンするな。すごいな。」
と思える人の、
どんなところに自信を感じますか?
「自信」は実際に存在するモノではないので、
ポケットから取り出して「これですよ、これが、自信です。」
というようには、見せることができません。
むしろ、
- 立ち方や姿勢。
- 声の出し方。大きさや声のトーン、緩急のつけかた。
- ジェスチャーやボディランゲージの大きさ
- アイコンタクトをしっかりと取っているか
- 顔の表情。硬くないか、表情と内容が一致しているか
- 質疑応答。間をとったり、適切な速度で回答を返しているか
といった、いくつかの行動パターンに
わたしたちは「自信」というラベルを貼っているのです。
だから、
「自信」という、存在しないものを追いかけるのではなく、
自信を構成する要素である、行動が適切にとれるようにした方がいい。
だから、自信をつけるために、最短の行動は、次の通りです。
- まず、何度も練習をすることです。
「プレゼンうまいね」と言われるようになった今でも、わたしは練習を必ずしています。スライドだけつくって、話すのは本番がはじめて、なんて、不安になって当然です。重要なプレゼンなら、ビデオ録画してください。ビデオを見て、行動を修正しましょう。 - 内容
プレゼンの内容を推敲して、自分が「そうだ」と思えるもの、話す自分自身が同意できる内容になっているかどうかです。自分が納得していないことを「自信をもってプレゼン」できたら、それはどっちかというと、プレゼンの才能ではなく、詐欺師の才能です。笑。 - 個別具体的な、技術の習得・練習
立ち方、姿勢、ボディランゲージ、アイコンタクトなど、スキル(=洗練された行動)として身につけられるものは、ひとつずつ身につけていきましょう。 - 大事なことに集中しましょう。
多くの場合、プレゼンで大切なことは、「自信をもってプレゼンすること」ではありません。相手を動かすことです。プロジェクトを前に進めることです。聞き手に、わかってもらうことです。お客様や、上司や、同僚や、聴衆は、プレゼンが上手な自信家の、中身のないプレゼンが聴きたいわけではないのです。
自信が、「ある」か「ない」か。
これを問いはじめると、
自信という「それ自体は存在しないもの」のチカラが大きくなります。
プレゼンして、うまくいけばチャンスかもしれないけど、
自信がないから、やめておこう。
と、「自信がない」ことが、
人生を前に進めるうえで、障害となってしまったりします。
けれども、自信それ自体は、いくつかの行動のパターンに過ぎないのです。
必要ならば、個別具体的にトレーニングすればよいだけなのです。
わたしたち人間は、それ自体存在しないものに、名前をつけることが
できるようになりました。
日々のコミュニケーションの中では
「あの新人、自信をもってプレゼンしてるね。いいね」とか
「自信もって!あなたなら、できるよ」とか
行動のパターンに名前をつけることは、役に立ちます。
けれども、この「自信」という言葉にとらわれてしまうと、
ほんとうは、行動をブラッシュアップすれば良いだけなのに、
「どうやったら、自信がつけられるんだろう?
このサイトに、聴衆をカボチャだと思え、って書いてあるけど
ほんとうかなあ?」なんて、悩んでしまいます。
同じように、
自尊心、自己肯定感、情熱、熱意、やる気、本気、勇気、
といった言葉もそうです。それ自体は存在しません。
だから「やる気だせ!」なんて叱るよりも
具体的な行動を改善してもらったほうが、役に立つものです。
頭の中にながれる言葉は、強い力を持ちます。
「ぼくは、自信がない」
という言葉が頭の中にながれるとき、
自分自身の行動を強く制約してしまったりします。
たとえば、就職活動をしている学生が多数参加する、講演会があったとします。
スライドには、次のように書かれています。
いきたい会社のOBの電話番号 090ー✕✕✕✕ー✕✕✕✕ (◯◯担当部長)
講師が、こう尋ねます。
「いま、この場で、いきたい会社の部長さんに、
電話をかけてって言われたら、
かけられるってひと、何人くらいいます?」
前の方に座った、ひとり、ふたり、まばらに手があがります。
多くの人が手をあげなかった。
そんなの「無理」「できない」って、
多くの参加者が思った。
でも、電話の使い方を知っていて、指が動かせるなら、
能力としては、電話をかけることができるはず。
だから「無理」「できない」って、いうのは事実とは違って、
正確には「できるけど、いまは、やりたくない」となるはず。
「できるけど、いまは、やりたくない」と考えれば、
・話す内容を準備してから、かけよう
・時間帯も、相手がゆっくり時間をとってくれそうなタイミングにしよう
こんなふうに、戦略的にすら考えられる。
けれど「無理」「できない」という言葉に左右されると、
実際に自分には電話をかけることなど、無理。
そんな風に思い込んでしまう。そして、そこで行動が止まってしまう。
「悩み」がなくなれば、悩みをうまく対処できたら、
自分が「無理」「できない」って思い込んでいることが
行動にうつせるようになります。
というわけで、本がもうすぐ、出ます。
ぜひ、予約してください。
(2018/04/09 23:54追記(SGT))
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