- 同型対応/141312


ゲーデルエッシャー・バッハ あるいは不思議の環(今後GEB)」
第二章 数学における意味と形
第四章 無矛盾性、完全性、および幾何学
および 序論 音楽=論理学の捧げもの
より。

 最近、「意識」とか「自己複製」あるいは「模倣」というキーワードが頭を巡っている。そんな中GEBを読んでいて得た新しいワードが「同型対応」だ。(そういったキーワードが巡っていないときには読み飛ばしていたものだった。『福岡伸一/生物と無生物のあいだ』ではないが「準備された心(=アンテナ)に降り立つ」のだろう。)


・同型対応について。

数学の授業を思い出そう。数学の世界にはx-y平面なるものがあり、原点を(x,y)=(0,0)のように表す事ができるのだった。

今、(x,y) = (2,2)の点を考えよう。

原点と点(2,2)の位置はそのままに、表現方法を変える事ができる。
例えば原点からの距離(r)と角度(θ)で(x,y) = (2,2)を(r,θ)=(2√2, Pi/4)のように表現できる。

これらは、『同型対応』と呼ぶ事ができる。
同型対応に必須の要素は、表現方法を変えたとて、元の情報(この場合では(x,y)=(2,2))を完全に回復するという事だ。一言で言えば、同型対応とは「情報を保存する変換」の事だ。

 さて、このGEBの中で、著者ホフスタッターは同型対応の認識こそが、人の心に意味を創造するのだ、と主張する。

 例えばこのようなゲームを考えよう。

ゲーム:xqシステム
(定義)
nxnqnは公理である。

生成規則:
AxBqCが公理である時、
AxBnqCA および
AnxBqCB
は公理である。

たとえば
A = n , B = n, C = nの時、(つまり、(定義)の時)
nxnnqnn (1)
nnxnqnn
は公理である。

たとえば
A = n, B = nn, C = nnのとき(つまり、(1)の時)
nxnnnqnnn
nnxnnqnnnn (2)
は公理である。



もう一回だけやろう。
(自分で「意味」をつかみたい人はここで一度読むのをやめてペンと紙を取り出し試してみてください。)











A = nn, B = nn, C = nnnnのとき(つまり、(2)の時)
nnxnnnqnnnnnn  (3)
nnnxnnqnnnnnn
は公理である。
繁雑になってきたので、
nがひとつあるのを1N
nがふたつあるのを2Nのように表示すれば、

これらは
1N x 2N q 2N (1)
2N x 2N q 4N (2)
2N x 3N q 6N (3)
のようになる。

ここで、わけのわからない「ゲーム」は、意味を帯びてくる。
かけ算と対応しているのだ!

以下にその対応を示す。

ゲーム⇔掛け算
nの数⇔数字
x  ⇔×(かける)
q  ⇔=(イコール)

(GEB本書ではpqシステム(足し算)だったものを掛け算で動くように改変。)

さて、このxqシステムはかけ算と「同型対応」していた。
このシステムはかけ算という「意味」を持っていた。

それでは一体、「かけ算」は何と同型対応しているがゆえに「意味」を持つ(あるいはしていないので持たない)のだろうか?