コズモグラフィー(1)/130583

 COSMOGRAPHYは、ジオデシック・ドームやテンセグリティの命名で有名な、バックミンスター・フラーの最後の本である。

 なお、C60ことフラーレンは「フラー」にちなむ。

 非常に独創的かつ「頭の良い」人だったのだろうなあ、と思うのだが、原文のせいなのか、訳のせいなのか、文章が入り組んでおり読むのに苦労する。はっきり言って大学の授業よりも頭を使う(苦笑)

 なのにまだ、読むのを投げないのは、きっと心のどこかで僕が、こういった「幾何学」が好きだからかもしれない。

 新知識を知った先から「教える」事こそが最強の勉強法である。なので、ここで自分なりにコズモグラフィーをまとめつつ、読んでいきたい。

 今回の中心概念は、「シナジェティクス」。フラーはその題の本も出していて、それはここ http://www.rwgrayprojects.com/synergetics/toc/toc.html で読める(英語)

 シナジェティクスとは「思考の幾何学」と訳される。物理学、生物学、化学。それらを専門領域に分断するのではなく、包括する為に考え出された学問だ。(と、書いている僕もまだ、なんのことやら良く分からない)

 COSMOGRAPHY第一章「アインシュタイン的宇宙の夜明け」では、以下のような事が語られる。

 フラーは若かりし頃、「人間には、宇宙における“役割”が与えられている」と考えた。

 それは
・人間以外の生物には、特別な環境に対する特別な「装備」が身体と一体化している。(cf.北極グマの毛皮)
・人間を含む多くの生物には脳がある。その脳は物理的/時間的に区切られた現象を頻繁に扱う。また、脳は感覚から届けられる情報から得たイメージをシステムに統合する(五感)。
・人間だけには、加えて「マインド」が存在する。

 フラーは、この「マインド」こそが科学的発見や数学的発見の為に用いられる「五感では感知できぬ関係性を発見する」という。

 例えば、我々の五感は決して量子力学を記述し得ない。人間のマインドがそれを可能ならしめる。


 フラーのマインドは、「アーティファクト革命」を行う。その革命の方法論は、アーティファクト(人工物)による問題解決に専念するという事であり、それは「人間の行動ではなく環境」を改善する事だと。そして、この方法論を彼は「デザインサイエンス」と呼ぶ。

 例えば、急流によって孤立している村落があれば、人々は食料を得るために、命の危険を冒して急流を渡るだろう。しかし、フラーがそこに人工物(橋)を建設すれば、人々は環境が変わり、それゆえ行動が変わるのだ。