世界は六次で繋がるか?/86168

6次の隔たり―?

「複雑な世界、単純な法則」という本の第二章を見ながら、少しネットワークについて考えてみた。

 まずこの本のこの章では、世界が何人で繋がる―、つまり、知り合いを何人介せば地球上全ての人物と知り合いになれるか?というのを命題として、『ランダムに分布する点を、最少何本の線で完全に繋ぐことができるか』という数学上、既に解答が出ている定理を元に、60億の人間を繋ぐのに『24人』必要だとする。
 しかし、人間のネットワークは単にランダムな点ではない。例えば、仲のよい友人の友人は、自分の直截の友人であることが多い。僕のmixiで言うとこんな感じだろうか。
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 本書では、これらの「強い絆」は、(知り合い同士を繋いで世界を覆うという目的にとって)重要ではないと述べる。なるほど、これら友人との直接の繋がりが仮に切れても、友人1人介せば彼らにはすぐ−2次で−繋がる。

 ところが、「弱い絆」の場合はどうだろう。例えば、十数年ぶりにmixi内で再開を果たした、小学校時代お世話になった塾の先生が居る。以下の図のように、先生と私は、たった一本でだけ、繋がっている。
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 ではもし、僕とこの先生の一本の絆が切れてしまったら、一体僕は、何人介して先生と連絡をとれるのだろうか?上図の青い数字のように(これが最短という保障はないものの)6人介する事が必要だった。直接−1次の知り合い−が、一気に6次に跳ね上がったわけだ。

 かくして、この本は、人間の社会は、ランダムに打った点と、秩序だって構造化されたシステムの、その中間にあるのではないか、という。そして、「世界を狭くする(=知り合い同士で世界を覆う)」ためには、「弱い絆」こそが重要で「弱い絆の強さ」とでもいうべきものが見えてくるという。

 この弱い絆という架け橋は、『単にだれかを1人の人物に結びつけるだけではなく、遠く離れた社会的世界、絆がなかったらまったく無縁だった世界への架け橋』なのだと。

 実際、グラノヴェダーという学者が「就職のつて」に関する調査−コネで就職口を見つけた場合、そのコネは、強い絆と弱い絆、どちらからのものか−を行ったとき、84%の人が後者であったと言う。

 そうしてこの本の2章はこう言う。「自分が何を必要としているかを(略)、あまり親密でない知人に広めれば、少なくともそのニュースはより広くいきわたる可能性がある。ニュースは自分が属す社会集団を閉じ込めている境界を越えて流れ出し、きわめて大勢の人々の関心をひくのだ。」そして、「個人の観点からすれば、弱い絆は重要な財産なのである」と。