- Structuring Knowledge

知識の構造化、という本を読んだ。(ISBN4-902444-03-8)

 この本は、現在の知識の爆発的な増加に伴い、知的生産の増大と、人間の新知識把握能力にはギャップがあり、また、学問が細分化されていった結果、ある分野の暗黙知が多すぎ、その専門分野の中でしか意思疎通が図れないと言う。いわば、知のカオス状態である。

以下では、本書に書いてあった「知」というものが何かについてのみ焦点を絞り、まとめてみたい。

 そもそも、「知」が生きてくるのはどういう状態であろうか。知識は「分かって」初めて有用である。理解には、知識の適切な動員と統合、表現方法、コミュニケーションなどが必要で、その知識の効率的な利用の為に、異なる知識間の構造化が必要であり、知識と知識を取り扱う新たな“科学”を「知識の構造化」としてこの本は試みている。

 「知識」の定義とはなんだろうか。絶対的な定義はない。だが、使う観点と目的から固有に定義されていることはある。ひとつの(情報処理に用いられる)定義では、体系化の程度によって、データ、情報、知識と整理される。

本に載っていた分類を整理すると以下のようになる。

 データ:石を投げて飛んだ距離/ナトリウムを水に放り込むと爆発する
 情報:小さな石も大きな石も同じ速度で落ちる/ナトリウムとカリウムは性質が似ている
 知識:力=質量×加速度(ニュートンの法則)/元素は周期律に従う

であり、また、

     知  識
  情 報 情 報 情 報
データデータデータデータ

といったピラミッド構造である。下に行くほどコンピューターで処理しやすく、上に行くほど人間の処理に依存する。