- 借金取りに騙されないための数学

nヶ月で完済するとする。
i月目の利子をA_iとする。 1≦i≦n, Ai = D(i+1) R
月々支払う額をC(=const)とする。
元金の残額をD_iとする。(D0=はじめ借りた額)
年利を1200*R [%] とする。(一月あたり100*R[%]。例えば年利1%だったらR = 1/1200)

いま
・年利1200R%、額D0、毎月返済額Cを入れたらnヶ月かかるのか。
を考える。すなわち、R,D0,Cだけの関数としてnを導けばよい。
そうすれば、そう返済額がnCとわかる。

一月目。
D_1 = D_0 - C + A_1 = D_0 (1 + R) - C
同様にして
D_2 = D_1 - C + A_2 = D_1 (1 + R) - C

D_{n+1} = D_n (1 + R) - C   ←隣接二項間漸化式
両辺からC/Rを引き算してやると、

D_{n+1} - C/R =(D_n- C/R)(1 + R)
(どうしてかというと、D_{n+1} - x =(D_n - x)yの形に持って行きたかった(K_n = D_n-C/R等比数列になるから)。
D_{n+1} =D_n \times y - xy + xであるから、y = (1 + R), x(1-y) = - Cを解いて、x = C/R)

ここで改めて、K_n = D_n - C/Rと置きなおすと
K_n = K_{n-1}(1 + R) = k_{n-2}(1+R)^2 = k_{n-3}(1+R)^3 ..... k_0(1+R)^n (←ここに指数が出てきた!)
K_0 = D_0 - C/Rだから、
{Kn = (D_0 - C/R){1+R}^n
K_nを元に戻して
D_n - C/R = (D_0 - C/R){1+R}^n
D_n = (D_0 - C/R){1+R}^n + C/R
ところで、nヶ月で返済終了だから、nヶ月後の残金はゼロでなくては、今回のアイフルの事件。
帳簿を操作されている。

したがって D_n = 0
C/R = (C/R - D_0) (1+R)^nを満たすnがそうである。
つまり、{1 + R}^n =(C/R)/(C/R - D_0) = C/(C - D_0 * R)

(1 + R)^n = C/(C-D_0*R)
n = \frac{\log{(C/(C - D_0 R))}}{\log{1+R}}
すなわち
返済にかかる月日(月)=Log{毎月返済額/(毎月返済額 - 始め借りた額*(年利÷1200))}/Log{1 + (年利÷1200)}
返済総額は、nC


では、年利25.55%で100万円借りて36000円づつ返済したらば?

n = Log[36000/(36000 - 1000000*(25.55/1200))]/Log[1 + (25.55/1200)] = 42.4861
nC = 152万9500円

で、返済シミュレーションの返済回数43回(実際に返済する時は整数回しか返済できない。)で、
最終回が4425+92 = 4517円。
42回目まで毎回36000円なので、36000*42=151万2000円。
併せて、151万6517円というわけで、僕の計算結果と比べても少なめ(これはアイフルには始めの十日間無利子というシステムがあるため)なので、流石に公開詐欺ではないようです。


とまあ、数学に親しんでいない人には、かなり複雑な計算だったと思いますが(特に漸化式を解くあたり)、こんなの毎回計算できないですよね。
返済が滞ったり、多目に返済したりすれば、さらに複雑になる。

この複雑さに、悪人ドモのつけいるスキがあるわけです。