楽するための努力は惜しむな―To calculate it FASTER.

 楽するための努力を惜しまない事によって、我々の文明というものは発達してきた。楽するための努力の一番単純なカタチ。それが、計算の工夫だ。計算が早く精確にできる事には価値がある。そのためには、計算の経験を積むのみならず工夫―すなわち、楽するための努力―が肝要だ。
それでは、どのような工夫をすべきなのか。
工夫する前に、まず、「計算ができる」と言うのは必須の用件だ。時間をかけたときには精確でちゃんとした和差積商の計算ができなくては、工夫など、絵に描いた餅に等しい。
次に、いささか逆説的ではあるが、暗記が必要だ。九九の暗記は当然としても、11〜20までの自乗は暗記しておきたい。それ以降も、25の自乗が625だとか、2の10乗は1024だとか、後は、4×25=100, 8×125=1000など、そのあたりは把握しておきたい。さらに、ここからが計算の工夫の主流部分であるが、主に以下のように工夫しうる。

  • 「1」:片方(あるいは両方)を因数分解する
  • 「2」:10の倍数などキリよい数字にする。
  • 「3」:分配法則・結合法則を駆使する(ここで自乗を暗記していると大いに役立つ)。
  • 「4」:余分に掛けて綺麗な数にして割る
  • 「5」:小数と分数を使い分ける
  • 「6」:(A+B)(A-B)=(A^2 - B^2), (A±B)^2=(A^2 ± 2AB + B^2)等の公式を用いる。

以上の六つ(およびその組み合わせ)がすぐ思いつくところであろう。

「1」については、例えば36×75であれば9*(4*75) = 9*300とする事によって一見煩雑な計算を暗算でなし得る。(実は「2」も含んでいる)
「2」については、どちらかの数に5の倍数が含まれているときに特に有用だし、これを「3」と組み合わせると13*42 = (10+3)*42 = 420 + 126というように計算の工夫ができる。
「3」と自乗の組み合わせの例では、14×13 = (13+1)*13 = 169 + 13というように計算ができる。
「4」は少し特殊な手法で、例えば67×125であれば67×1000÷8として、67000÷8(これなら暗算でもできる)とする(orderや1の位の確認くらいはする)。
「5」は「4」にも似たところはある(1000÷8というのは要するに125/1を掛ける代わりに1000/8を掛けているのだ)が、一応別に分類しておく。
「6」は中学に入ってから習うものだが、記号の計算はできるが実際の数の計算の際に応用できない人は多いようである。62×58という暗算とは縁の無さそうな数は、(60+2)(60-2)=(60^2 - 2^2)といういとも容易い計算に化けるのだ。

かくのごとく、計算はいくらでも工夫しうる。 少し工夫するだけで断然計算は楽になる事が多い。楽するためには努力を惜しんではいけないのだ。